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2019.03.07

WING

川崎重工、進化止まらぬ名古屋第一工場のいま

改善進む787胴体組立工場

 川崎重工の名古屋第一工場は、去る1992年に竣工した777向けの北工場を皮切りとして、2006年に同じ北工場に787胴体を製造する新しい建屋が竣工。その後も2010年に南工場が、そして2015年に787型機の増産にあわせて東工場が竣工するなど、川崎重工のボーイングの民間航空機プログラム中核工場として、その役割を拡大してきた。さらに2017年には、北工場の777組立建屋に隣接するかたちで、777X専用工場が竣工している。その名古屋第一工場は今もなお、進化を留めることを知らない。777Xで自動化を推進したほか、787プログラムでも更なる効率生産が進んでいる様相で、まさに川崎重工の航空機づくりの未来を担う中核工場として、先進的な取り組みを実践している工場だ。
 この名古屋工場を統括する航空宇宙システムカンパニー生産本部副本部長(名古屋工場担当)の村井晃副本部長によれば、「現在、様々な観点で作業の効率化を進めているなかで、フロータイムの削減にも取り組んでおり、工場内のレイアウトを見直し、工場に余力を作っている」ことを明らかにした。
 ここでその力の源泉となるのがカワサキ・プロダクション・システム(KPS)だ。川崎重工が十八番とするKPSは品質向上を一義的な目的としながらも、効率化、コストダウンなど、様々な波及効果をもたらしてきた。
 村井副本部長は「我々の得意とするKPSを使ってコストダウンを進めており、コストダウンをすれば、作業時間も短くなっていく」と話す。あるタクトでは、定時割れペースになるほど改善活動が進んでいる様相で、そうした場合には他のタクトと合体させて一つのタクトにするなど、成果を生んでいるという。改善活動に取り組むことで工場内に余力を生み、「結果として、工場に新たなスペースを捻出することができている」ことを明らかにした。
 こうした改善活動を進めて工場に余力を生むことで、将来の新規プロジェクトにも柔軟に対応できるように、その体制を整えておく方針だ。

 

777X胴体、1月末で8号機まで生産中
ロボット3兄弟の活躍

 

 
効率化進んだ787胴体作業
787作業は3年前比で20日短縮

 

※写真=航空宇宙システムカンパニーの村井晃副本部長

777-9X Images
K66137-

※写真=777Xでも川崎重工の名古屋第一工場で胴体部が製造されている(提供:ボーイング)
787-10 First Flight

※写真=787型機の胴体も川崎重工が製造。複合材の一体成形が行われており、その作業はかなり効率化が進んでいる