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短波通信ブラックアウト、太陽フレア前の電離圏状態に依存
航空無線などの安定運用に寄与、より高精度な宇宙天気に
航空機無線などに活用されている短波通信が、すべて途絶してしまうブラックアウト。災害時の防災無線など、社会インフラを支えている短波通信だが、太陽フレアによって使用困難となる、いわゆるデリンジャー現象が発生することがある。このデリンジャー現象によって、すべての短波通信が途絶してしまうのが、ブラックアウトだ。そうしたなか防衛大学校、情報通信研究機構(NICT)、そして名古屋大学の研究グループが、日本国内4カ所のイオノゾンデの40年以上にわたる観測データを解析し、ブラックアウトの発生しやすさには太陽フレアの規模のみならず、フレア発生前の電離圏の状態が強く依存していることを突き止めることに成功した。
共同研究グループは、「電離圏の状態」を定量的に示す新しい指標を定義し、この指標を用いることでブラックアウト発生の予測精度が劇的に向上することを確認した。これにより、より信頼性の高い宇宙天気予報の実現に寄与することが見込まれるほか、航空無線や防災無線など、短波通信の安定運用につながることが期待との見方を示した。
