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2020.10.26

ツーリズムEXPO沖縄で旅のチカラ示そう

 「ツーリズムEXPOジャパン旅の祭典 in 沖縄」が10月29日から11月1日までの4日間、沖縄コンベンションセンターと宜野湾市立多目的運動場で開催される。
 東京オリンピック・パラリンピックの開催もあり、ツーリズムEXPOは2019年に大阪、2020年に沖縄開催が決定した。それまで前身のイベントを含めて東京で開催してきたが、昨年の大阪開催も成功し、今年は沖縄で「海洋リゾート展」として開催する計画だった。
 それが新型コロナウイルスの感染拡大でほとんどのイベントが中止となり、何よりも、感染による外出自粛、世界中が入国制限の「鎖国状態」に陥り、国内・海外・訪日旅行の旅行関連産業が大打撃を受ける事態となった。
 このため、ツーリズムEXPO沖縄も開催がどうなるか注目されたが、外出、イベント自粛が段階的に緩和され、Go Toトラベル事業の開始も追い風となって、ソーシャルディスタンスの確保など、感染防止対策を徹底化するために、規模は当初よりも縮小されたが、計画通り、開催が決まった。
 そうした環境もさることながら、日本国内随一と言っても過言でない観光産業を基幹産業とする沖縄のツーリズムEXPO開催に対する熱意が、コロナ禍の環境下にあっても計画通り開催が実現した原動力だったのではないかと推察する。

 

ツーリズム産業の起爆剤に

 10月8日に沖縄で開催された記者会見では、ツーリズムEXPOの実行委員長である高橋広行JATA副会長が、「ツーリズムEXPOジャパン旅の祭典 in 沖縄」もついて、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けているツーリズム産業を回復軌道に乗せるための「大きな起爆剤」にすることを明言した。
 一方、沖縄県も、沖縄経済の復興に向けて、「ツーリズムEXPOジャパン2020 旅の祭典 in 沖縄」がその足掛かりになることを期待したい。
 ツーリズム産業と沖縄県が協力したからこそ、誰も体験したことのないコロナ禍の逆風下で、ツーリズムEXPO沖縄が開催できたと言える。
 高橋実行委員長の語るツーリズムEXPO沖縄を「ツーリズム産業の起爆剤」にするという意味には、沖縄の観光振興はもとより、瀕死の状態にあるわが国、そして世界のツーリズム産業の復活、回復への契機としたい想いがあるはずだ。

 

Go Toで旅のチカラ実感

 ツーリズム産業回復への道のりはまだまだ厳しいものがあるが、それでも外出・旅行の自粛が溶けて、地元を改めて知る「マイクロツーリズム」から県をまたぐ移動が可能になり、7月22日からは「Go Toトラベル事業」がスタートした。
 Go Toトラベル事業に当初は東京発着の旅行が対象外になったが、それでもGo Toトラベルによって、旅行を我慢していた人々の旅行意欲に火が付いたことは間違いない。
 Go Toトラベルは7月22日の事業開始以降、9月15日までの利用実績で、利用人泊数が約1689万人泊、割引支援額が735億円に達した。10月からのGo Toトラベルへの対象追加が決まったことを受けて、まだGo Toトラベル対象期間ではないにも関わらず、9月のシルバーウィークは過去最高の行楽の人出となり、とくに首都圏からの地方への旅行者、地方からの首都圏への旅行者で、日本列島が久しぶりに沸き立った。
 この結果、Go Toトラベルは9月末時点で、利用者が2518万人、割引支援額が1099億円に跳ね上がった。
 そして、10月からの東京発着のGo Toトラベルがスタートし、国内旅行は活況を呈している。OTAの配分が限度額に近づくなどの課題はあったが、それだけGo Toトラベルが浸透しているということであり、Go Toトラベルは来年1月31日までの予定だが、追加予算を含めて延長も取り沙汰されている。
 Go Toトラベルの人々の動きを見て、自分を含めて、「旅行は欲求」だと思った。抑えつければつけるほど湧き上がる。この欲求に抗うことはできない。「不要不急の外出、旅行を控える」と言われるが、旅行は必要緊急、必要至急、必要火急のものではないかもしれないが、人々の人生、生活、暮らしになくてはならないものだとの思いを新たにした。これが「旅のチカラ」なのかもしれない。
 日本旅行業協会(JATA)は、2007年に「旅の力」(当時は漢字だった)について、5つの効果・効用をまとめている。
 1.文化の力=色々な国や地域の歴史、自然、伝統、芸能、景観、生活などについて学び楽しみつつ、それらの発掘・育成・保存・振興に寄与できる。
 2.交流の力=国際あるいは地域間における相互理解、友好の促進を通じ、安全で平和な社会の実現に貢献できる。
 3.経済の力=旅行・観光産業の発展による雇用の拡大、地域や国の振興、貧困の削減、環境の整備・保全など、幅広い貢献ができる
 4.健康の力=日常からの離脱による新たな刺激や感動、遊・快・楽・癒しなどを通じ、からだやこころの活力を得、再創造へのエネルギーを充たす。
 5.教育の力=旅による自然や人とのふれあいを通し、異文化への理解、やさしさや思いやり、家族の絆を深めるなど、人間形成の機会を広げる。

 

国内から海外・訪日旅行へ

 「ツーリズムEXPOジャパン旅の祭典 in 沖縄」は、「旅のチカラ」を示す起爆剤となる。JATAの池畑孝治理事・事務局長は、「旅のチカラがすごいことを皆さんに見て、感じていただき、来年1月の東京商談会と展示会でツーリズ産業を盛り上げたい」と語っている。
 菅義偉首相は官房長官の時にGo Toトラベル事業について、「観光は全国で900万人の方が仕事に従事しており、まさに状況『瀕死の状態』と言っても言い過ぎではない」と、観光産業の置かれている状況をあらためて指摘し、経済社会活動の再開に向けて、Go Toトラベル事業のその起爆剤として主導した。
 一方で、首相に就任してからは、国内旅行の回復とともに、国際往来の再開に向けて動き出し、既に、アジア各国とのビジネス渡航の短期滞在者、長期滞在者の往来を可能とするビジネストラック、レジデンストラックの実施に動き出している。とくにビジネストラックはシンガポール、韓国、さらには首相自身が外遊し、ベトナム、インドネシアと交渉を進めるなど、一挙に実現に向かい出した。
 ビジネストラックの先にあるのはツーリズム産業の核ともいうべき、観光市場の再開であり、日本からの海外旅行、海外からの訪日旅行の復活に向けて、首相自ら扉を開いている。
 「ツーリズムEXPOジャパン旅の祭典 in 沖縄」は、こうした全ての旅行が回復への道筋を辿るための起爆剤となる。そして、その導火線は来年1月7日、8日に開催される「ツーリズム EXPOジャパンTEJ東京商談会/トラベルフェスタ」に受け継がれ、東京オリンピック・パラリンピックを経て、11月25日〜28日に開催される「ツーリズムEXPOジャパン2021大阪・関西」で完全復活をめざす。「ツーリズムEXPOジャパン旅の祭典 in 沖縄」で、「旅のチカラ」を思う存分味わおう。(石原)