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2018.04.23

OTAを野放しにしていいのか

 毎日、アマゾンで買い物して、アマゾン・プライムで映画を見て、ダゾーンでスポーツを観戦し、キンドルで本やマンガを読む。旅行はエクスペディア、ブッキングドットコムで予約する。
 PCはそれ以前に中国、台湾製かアップル、スマートフォンやタブレットもアップル、中国、韓国製品。ビジネス、レジャー、遂には生活まで、日本企業が介在する余地が少なくなった。
 消費者目線なら、良いもの、便利なものを利用するのは自然の流れで、海外製品の方が日本製品よりも安くて、品質もそこそこなら仕方がないかもしれないが、事業者目線だと、理不尽なものは理不尽だ。
 日本旅行業協会(JATA)の記者会見で、越智理事・事務局長による2018年度のJATA事業方針を聞いていて、そんなことを思った。越智事務局長は、日本の旅行市場で、日本の法規制の適用を受けないグローバルOTAのシェア拡大が進み、国内旅行会社との不公平な競争が限界に達していると指摘した。
 このため、競争環境や取引条件の課題について、JATA内部で検討会をスタートさせるとともに、観光庁とこの問題を議論する場を求めていくことを明言した。もはや待ったなしの状況で、越智事務局長は、「OTAの国内旅行取扱高は旅行会社に匹敵し、海外旅行はシェア拡大を続けている。今がギリギリのタイミング」で、「日本の旅行業界におけるクロスボーダー規制を強化するのか、それとも撤廃するのか議論をスタートさせたい」と強い調子で語った。
 2016年にパッケージからFITの流れが決定的となり、2017年はFIT・WEBへの移行が本格化した。JTBは「エアホ」が主力商品となり、2018年の「ダイナミックJTB」の発売へと続く。
 一方で、HISも従来の販売体制からOTAの方向に舵を切るが、旅行商品販売のこれからの方向はまだ見えない。澤田社長が旅から戻り、同社の会計年度が始まる11月前後には、新たな方向性を打ち出してくるかもしれない。
 2017年は旅行需要が回復したこともあり、主要旅行業者の取扱高を見る限り、旅行会社の取扱高もプラスになったが、FIT化・WEB化の流れは止まらないだろう。
 クロスボーダー取引に関しては、旅行業界だけの問題ではないが、JATAの立場としては、現状の不公平な競争環境を正し、会員の利益を守り、消費者保護の観点からも、クロスボーダー取引に対して規制強化を求めることは理解できる。
 3年前にオンライン旅行取引でトラブルが続出して、「オンライン旅行取引の表示等に関するガイドライン(OTAガイドライン)」を策定したが、その後も変わらず、OTAは法的規制を全く受けることなくシェアを拡大し、まさに「やりたい放題」の状況だ。
 一方で、国内の旅行業者は旅行業法等の法的規制を受けるという不公平な競争環境を強いられている。それどころか、てるみくらぶの一件で、国土交通省は弁済限度額を引き上げ、規制を強化した。また、旅行業経営のガバナンスも強化された。海外OTAは規制なし、国内旅行会社は規制強化では、不公平感は広がるばかりだ。
 越智事務局長は、「オーストラリアのように規制を撤廃するのか、それとも規制を強化するのか方向性を議論したい」と語っている。オーストラリアはOTAのシェア拡大を受けて、2015年に旅行業ライセンス制度を廃止し、供託金制度も廃止した。日本のように消費者保護に重きを置いている体制で、それができるかどうか。てるみくらぶの一件を見ても難しいのではにないか。
 かつて、OTAに対する規制の議論で、法的な規制は難しく、旅行業法、標準旅行業約款を柔軟に活用していく方向性が示されたが、もうそんな悠長な状況ではなくなった。クロスボーダー取引に対して規制を求める動きもあり、ここは公平性の観点からOTAに対する規制強化に声を上げるべきと思う。(石原)