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2025.09.18

WING

IATA、ICAO総会向け14項目のワーキングペーパー

 3年に一度の総会、各国の足並み揃える貴重な機会に

 国際航空運送協会(IATA)は9月17日(ジュネーブ現地時間)、モントリオールで来る9月23日~10月3日にかけて開催予定の国際民間航空機関(ICAO)第42回総会に向けて、IATAが作成した14のワーキングペーパーをICAOに提出したことを明らかにした。このワーキングペーパーには、SAF、CORSIA、消費者保護規制、事故報告のあり方、GNSS妨害など、さまざまな観点からIATAがICAO加盟国に対して協議・改善を求めたものだ。
 相次ぐ紛争、地政学的リスクの高まりなど、各国の足並みは大きく乱れている。とりわけロシアによるウクライナ侵攻など、紛争地域周辺ではGNSS干渉(ジャミング、スプーフィング)が頻発し、航空輸送の安全性が脅かされている。
 そうしたなか開催されるICAO総会についてIATAのウィリー・ウォルシュ事務局長は、「IATAは、安全性、持続可能性、効率性を最優先事項としてICAO総会に参加する」と前置きしつつ、「2050年までにネットゼロエミッションを達成するという航空業界のコミットメントの重要な推進力として、SAF生産とCORSIAに対する一層強力な支援を確保することが不可欠」であることを強調。「同様に、経済的な弱体化を招く税制措置や旅客権利規制の寄せ集めを回避するために、シカゴ条約の原則と条項を遵守することで合意を得る必要がある」ことを訴えたほか、「タイムリーな事故報告、GNSS干渉の緩和、そして無線周波数帯域の保全によって、安全性を強化しなければならない」と話すなど、今回の総会における協議に期待を寄せた。
 IATAとしては、3年に一度開催されるICAO総会が、各国の足並みを揃える重要な機会であるとし、ウォルシュ事務局長も「世界の航空業界にとっての国際基準の重要性は計り知れない。私は今回の総会の成果に楽観的で、誰もが航空の安全、効率、そして持続可能性の向上を望んでいる」とコメント。「我々は各国政府と共通の課題を共有している。総会に提出する書類の多くは、各国政府に対し、既に合意された事項をより効果的に実施するよう求めるもの。モントリオールでの今後数週間は、この課題を策定する上で極めて重要だが、さらに重要なのは、合意事項を達成するための今後3年間の作業だ」として、次の3年間で達成に向けた具体的な行動を起こすことの重要性を強調した。

※この記事の概要
・SAF市場構築へIATA取り組み支援要望
 SAF生産者に経済的インセンティブを
通信事業者と当局で連携強化
 事故最終報告書は1年以内に
GNSS干渉、許容できないリスク
 リスク軽減向け多面的アプローチを
国際線パイロット、年齢制限を67歳に引き上げ  など