ウイングトラベル
★リクルート、総地域消費額増加意識した施策加速

集客の最大化と観光事業者の業務負荷削減軸に積極策
リクルートはこのほど都内で「じゃらんフォーラム2025」を開催した。イベントでは同社の旅行関連サービス「じゃらん」の重点施策として、宿泊施設や観光地への集客の最大化を目指す取り組みや観光関連事業者の業務負荷削減に資するサポートに一段と力を入れていく方針を示した。これらの施策に取り組むことで観光を軸とした総地域消費額の増加を目指していくとした。
24年度の国内宿泊予約総流通額は1兆3900億円
前年比11%増、過去最高の水準に
フォーラムの冒頭では同社旅行ディビジョンの大野雅矢バイスプレジデントがじゃらんの方針について説明を行った。
足元の状況として2024年度の国内宿泊予約総流通額が前年度比11%増の約1兆3900億円となり、過去最高水準を更新したことを明らかにし、国内の宿泊予約動向が堅調に推移していることを強調した。
その上で大野バイスプレジデントは「じゃらんとして目指すものは『総地域消費額』の増加だ。これを実現する上で、集客の最大化とクライアントの業務負荷削減という2つの取り組みに注力することで、持続的かつ活気のある観光地づくりを目指していきたい」と語った。
じゃらん上位会員向けの新たな特典施策を導入へ
欧米OTAとの連携強化で訪日客集客強化
集客の最大化に向けた取り組みに関しては、従来から展開するセール施策を通じて、ユーザーへの予約喚起を図っていくとともに、1回の予約で利用することができるクーポン種類の拡大を図る。具体的には、これまで宿泊施設が個別で配布するクーポンと、じゃらんが発行するものを同時に使用することができなかったものを一度に利用することができるようにする。これにより、予約アクション数の増加につなげる。
さらに、じゃらんのサービスの利用頻度が高い「ゴールド会員」向けの新サービスとして、アーリーチェックインや館内利用券などゴールド会員専用の特典を付加した「ゴールド会員限定宿特典」の導入を検討する。
同社によるとゴールド会員の予約数はレギュラー会員に比べて約9倍、予約単価は約1.7倍と高い傾向にあることから、サービスメニューを拡充することで、予約アクション数の増加につなげる。
じゃらん.netのサービスだけでなく、地域の需要創出に寄与した取り組みにも注力する。大野バイスプレジデントは和歌山県白浜町で取り組んだ冬季の観光需要喚起策で2000人の集客につながった点を挙げ、この取り組みを広げていくとした。
国内旅行喚起にあわせて、訪日インバウンドの施策にも力を入れる。じゃらんのインバウンドサービス経由で取り扱った予約はコロナ禍前と比べて約6倍に増加していることから、今後は欧米圏のOTAとの提携を強化することで安定した集客基盤づくりに取り組むほか、カスタマーサポート体制を強化し、トラブル対応の迅速化を図るなどといった施策を展開していき、訪日需要を取り込み拡大につなげていく考えを示した。
※写真=「じゃらんフォーラム2025」の冒頭で事業戦略などについて話すリクルート旅行ディビジョンの大野雅矢バイスプレジデント