記事検索はこちらで→
2025.07.02

ウイングトラベル

★航空旅客市場、5月のRPKは前年比5%増と堅調

 北米市場は前年割れ、各地の政情不安に警戒感も

 国際航空運送協会(IATA)は6月30日(ジュネーブ現地時間)、5月の航空旅客市場データを公表した。それによれば、旅客需要を表すRPKは前年同月比5%増と堅調な伸びがみられた。座席供給量を表すASKも5%拡大しており、平均搭乗率は0.1ポイント減の83.4%だった。
 このうち国際線のRPKは6.7%増加し、ASKも6.4%増に。搭乗率は5月単月として過去最高の0.2ポイント増加した83.2%だった。搭乗率が好調に推移した背景には旺盛な航空需要がもちろん一因だが、一方で機体・エンジンメーカーのサプライチェーン問題に起因した新造機の納入遅れという問題がある。
 国内線のRPKは、前年同月比で2.1%増加した。ASKも2.8%増加し、搭乗率は0.5ポイント減少した83.7%だった。
 IATAのウィリー・ウォルシュ事務局長は、「5月の需要の伸びはばらつきがみられたが、世界全体では5%の成長を記録した。とくにアジア太平洋地域が9.4%増と牽引した」ことに言及した。ちなみにトランプ関税に揺れる米国市場では、先行き不透明感からか国内線市場を中心に需要が悪化した。
 ウォルシュ事務局長は6月に中東の政情が急速に悪化したことに触れ、「航空会社が旅客への不便を最小限に抑えながら安全な運航を維持しているにもかかわらず、一部の地域では地政学的な不安定性が依然として課題となっていることを改めて認識させられた」とコメント。「5月を通して比較的低水準で推移していた原油価格への政情不安の影響は、今後注視すべき重要な要素」との見方を示した。
 その一方、北半球の夏のピークシーズンに向けて予約が前倒しで進むなど、消費者心理が堅調に推移している」とし、繁忙期の需要が好調に推移していると説明。「これは我々の楽観的な見通しを裏付けるものだ」と述べるなど、今後の需要動向に自信をみせた。

■国際線・国内線の旅客市場動向
・アフリカ=RPK:+7.5%、ASK:+4.6%、PLF:75.3%(+2ポ)
・アジア太平洋=RPK:+9.4%、ASK:+7.1%、PLF:83.8%(+1.8ポ)
・欧州=RPK:+3.4%、ASK:+3.9%、PLF:84.7%(-0.4ポ)
・ラテンアメリカ=RPK:+8.5%、ASK:+9.6%、PLF:82.2%(-0.8ポ)
・中東=RPK:+6.2%、ASK:+6.7%、PLF:80.7%(-0.4ポ)
・北米=RPK:-0.5%、ASK:+2%、PLF:83.4%(-2.1ポ)

■国際線の旅客市場動向
・アフリカ=RPK:+9.5%、ASK:+6.2%、PLF:74.9%(+2.2ポ)
・アジア太平洋=RPK:+13.3%、ASK:+10.6%、PLF:84%(+2ポ)
・欧州=RPK:+4.1%、ASK:+4.8%、PLF:84%(-0.6ポ)
・ラテンアメリカ=RPK:+8.8%、ASK:+11%、PLF:83.6%(-1.7ポ)
・中東=RPK:+6.2%、ASK:+6.3%、PLF:80.9%(-0.1ポ)
・北米=RPK:+1.4%、ASK:+1.7%、PLF:83.8%(-0.3ポ)

■主な国内線の旅客市場動向
・豪州=RPK:+1%、ASK:0.0%、PLF:79.2%(+0.8ポ)
・ブラジル=RPK:+18.3%、ASK:+15.7%、PLF:81.2%(+1.8ポ)
・中国=RPK:+7.4%、ASK:+4.8%、PLF:84.3%(+2ポ)
・インド=RPK:+3.1%、ASK:+9.6%、PLF:83.5%(-5.3ポ)
・日本=RPK:+5.8%、ASK:-1.1%、PLF:76.9%(+5ポ)
・米国=RPK:-1.7%、ASK:+2%、PLF:83%(-3.1ポ)

※画像=5月の旅客需要は世界平均で5%増と堅調。ただ、市場で勢いにバラつきがみられた
https://jwing.net/w-daily/pict2025/2507/0701iata-w.jpg

★JAL5月実績、国際線旅客が前年比13.5%の大幅増
 訪日需要取り込み、国内線も12.7%増と好調

 日本航空(JAL)がまとめた5月の輸送実績は、国際線旅客数が前年同月比13.5%増の66万540人で、利用率が86.7%だった。好調なインバウンドによって前年を大幅に上回った。国内線はグループ合計の旅客数が12.7%増の315万8614人で、利用率が80.7%だった。国内線も昨年度に続き旅客が増加傾向となった。
 国際線旅客は、需要を示すRPKが13.5%増の37億4393万8千人キロ、供給を示すASKが3.5%増の43億1736万9千座席キロで、供給の増加に対して需要が大幅に伸びたため、高い利用率となった。方面別では、とくに中国線の旅客が27.8%と大幅に増えた。
 JALグループ(JAL、J-AIR、JAC、HAC、JTA、RAC)が運航する国内線の旅客数は昨年度から増加傾向が続いており、5月も堅調に推移した。RPKが13.1%増の23億7933万9千人キロ、ASKが1.1%減の29億4948万座席キロとなった。
 貨物郵便輸送は、国際線の貨物量が11.7%増の4万7802トン、郵便が6.3%減の1079トンになった。国内線の貨物量は11.8%増の2430トンで、郵便が1.7%増の2430トンだった。

■国際線方面別実績
 ・米大陸線=旅客数:15万3392人(7.3%増)、RPK:14億3202万2千人キロ(6.6%増)、ASK:16億806万4000座席キロ(4.4%増)、利用率:89.1%(2ポ増)
 ・欧州線=旅客数:6万8935人(16.4%増)、RPK:6億2963万5千人キロ(15.7%増)、ASK:7億522万6千座席キロ(2.3%増)、利用率:89.3%(10.3ポ増)
 ・東南アジア線=旅客数:24万6290人(14.5%増)、RPK:10億1796万キロ(18%増)、ASK:12億1784万6千座席キロ(5.6%増)、利用率:93%(8.8ポ増)
 ・オセアニア線=旅客数:1万7009人(8.2%増)、RPK:1億2070万3千人キロ(6.0%増)、ASK:1億2985万座8千席キロ(7.5%減)、利用率:87.5%(11.9ポ増)
 ・ハワイ・グアム線=旅客数:6万699人(18.4%増)、RPK:3億5008万6千人キロ(16.5%増)、ASK:4億1559万9千座席キロ(1.9%増)、利用率:84.2%(10.5ポ増)
 ・韓国線=旅客数:3万6411人(0.6%減)、RPK:4303万8千人キロ(0.6%増)、ASK:4155万9千人キロ(1.9%増)、利用率:90.6%(3.1ポ増)
 ・中国線=旅客数:7万9602人(27.8%増)、RPK:1億5049万5千人キロ(25.2%増)、ASK:1億9327万8千座席キロ(0.5%増)、利用率:77.9%(15.4ポ増)

■主な国内路線別実績
 ・羽田‐伊丹=22万5693人(21.6%増)、座席数:25万3455席(1.6%減)、利用率:89%(17ポ増)
 ・羽田‐関西=2万4181人(34.6%増)、座席数:3万690席(5.2%増)、利用率:87.6%(17.2ポ増)
 ・羽田‐新千歳=30万6947人(28.8%増)、座席数:35万464席(2.8%増)、利用率:77.6%(17.6ポ増)
 ・羽田‐中部=1万3898人(4.1%増)、座席数:1万9158席(増減なし)、利用率:72.5%(2.8ポ増)
 ・羽田‐福岡=27万7911人(10.8%増)、座席数:34万2588席(2.1%減)、利用率:81.1%(9.4ポ増)
 ・羽田‐那覇=21万1152人(11.7%増)、座席数:25万8467席(3.8%減)、利用率:81.7%(11.3ポ増)
 ・成田‐伊丹=9716人(14.8%増)、座席数:10230席(増減なし)、利用率:95%(12.3ポ増)
 ・成田‐中部=1万1062人(13.2%増)、座席数:1万7856席(6.3%減)、利用率:62%(10.7ポ増)
 ・伊丹‐新千歳=3万8502人(6.3%増)、座席数:4万920席(増減なし)、利用率:94.1%(5.6ポ増)
 ・伊丹‐福岡=1万7969人(0.6%減)、座席数:2万1204席(0.4%増)、利用率:84.7%(0.8ポ減)
 ・伊丹-那覇=4万3294人(10.4%増)、座席数:4万8484席(10.7%増)、利用率:87.3%(8.4ポ増)
 ・関空‐新千歳=1万6929人(46%増)、座席数:2万460席(13.5%増)、利用率:82.7%(18.4ポ増)
 ・関空‐那覇=2万2889人(17.2%増)、座席数:3万690席(増減なし)、利用率:74.6%(11ポ増)
 ・中部‐新千歳=2万7510人(14.4%増)、座席数:3万690席(増減なし)、利用率:89.6%(11.2ポ増)
 ・中部‐那覇=3万86人(16.8%増)、座席数:4万1910席(1.6%増)、利用率:71.8%(9.4ポ増)
 ・福岡‐新千歳=1万8180人(6.2%減)、座席数:2万460席(18.7%減)、利用率:88.9%(11.9ポ増)
 ・福岡‐那覇=4万6779人(18%増)、座席数:6万1380席(0.3%増)、利用率:76.2%(11.5ポ増)

※写真=5月の輸送実績は引き続き好調だった
https://jwing.net/w-daily/pict2025/2507/0701jal-w.jpg