記事検索はこちらで→
2025.07.02

WING

異常姿勢防止・回復訓練、内容や教官要件明確化へ

 改正航空法でUPRT実施が求められるように

 国土交通省航空局は、航空法施行規則の一部を改正する省令により、技能証明などの要件として「異常な姿勢の予防及び異常な姿勢からの回復を行う飛行」が求められることになったことを踏まえ、その訓練内容、教官の要件などを明確化するべく、関連する通達を改正する方針で、その改正(案)をまとめた。
 飛行中の異常姿勢からの回復する訓練、いわゆるUPRT(Upset Prevention and Recovery Training)は、飛行中の制御喪失(loss of control in flight :LOC-I)に起因する事故を抑制するための効果的な対策を実施する目的で開発された。過去のLOC-Iの事故研究の結果、こうした事案の発生前及び発生中には操縦士による適切ではない対応が確認されたことから、ヒューマンエラーに対する効果的な対策として、訓練の改善が必要と判断されたという。
 UPRTは前述したように飛行機が異常な姿勢になりうる状況を認識し、回避する能力を高めるために必要な知識及びスキルを操縦士に習得させるとともに、通常の飛行領域から逸脱した飛行機の制御を回復する能力を高めることが狙いだ。まずは状況の認識や異常な姿勢の回避、すなわち「予防」に重点を置くことが重要で、さらに「回復」に対応した部分として、的確な回復操作を効果的に実施するために必要な分析力と手動操縦の能力を伸ばすことが、訓練の鍵となる。

※この記事の概要
航空運送事業者の訓練でもUPRT
 定期訓練、少なくとも3年間で全要素網羅
UPRT教官に求められる要件とは?    など