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2025.07.02

WING

愛媛県、紫電改展示館の新展示館整備へ

 機体移設作業でクラウドファンディング

 愛媛県は7月1日、愛媛県愛南町の紫電改展示館が老朽化しているとして、新たな展示館の整備に受けて、機体の移設作業が必要だとして、「ふるさと納税」を活用したクラウドファンディングを実施することを発表した。同館に保存されている紫電改は、今年7月25日付で日本航空協会の重要航空遺産に認定される見通しだ。
 クラウドファンディングの募集期間は9月5日23時まで。目標金額の第1目標を1000万円に設定し、最終目標 3800万円に据えた。7月1日0時にスタートしたクラウドファンディングだが、7月2日9時30分現在、すでに789万円5000に達した。
 紫電改は川西航空機が開発した局地戦闘機。1942年12月27日に初飛行。その設計者は、九七式飛行艇や二式飛行艇を生み出した菊原静男氏だ。
 その紫電改は、東京帝国大学航空研究所で設計したLB翼という空気抵抗を抑える翼型を採用し、川西航空機が開発した自動空戦フラップを装備した。この自動空戦フラップは、速度と加速度に応じて自動的に展開するフラップだ。さらに、当時の日本の航空エンジン開発の粋を結集した「誉」を搭載。零戦の後継機として開発された局地戦闘機「雷電」、艦上戦闘機「烈風」のつなぎとなる見込みだったが、両機の開発の遅れや紫電改の優れた性能から制式化。量産機数は約400機程度だが、第三四三海軍航空隊などで運用された。
 現在、紫電改展示館に展示されている機体は、大戦末期に愛南町久良湾に不時着したとされたN1K2型。昭和53年(1978年)に地元ダイバーが偶然発見し、翌年7月に愛媛県が引き揚げられた。「紫電改展示館」に保存されている機体は、国内で唯一展示されている紫電改であり、海没による損傷が見られるものの、オリジナルの部分を残している。
愛媛県によれば、紫電改展示館は建設からすでに45年が経過して老朽化が進行していることから、新たな展示館を整備することとなり、それに伴い機体の移設を実施することとなったという。
 調査の結果、「紫電改」の機体に最大限配慮した慎重な移設作業が必要となったことから、移設費用の一部について、「ふるさと納税」によるクラウドファンディングを活用することを決めた。
 なお、クラウドファンディングでは寄付額に応じて返礼品をもらうことができる。返礼品の一部例は以下の通り。

・寄付額5000円=紫電改オリジナルステッカー2枚セットなど
・寄付額1万円=紫電改オリジナルピンズなど
・寄付額5万円=愛媛県産真珠付き紫電改オリジナルピンズなど
・寄付額10万円=紫電改オリジナルスニーカー(紫電改343作者・須本壮一氏デザイン)など
・寄付額50万円=紫電改移設クレーン作業の見学招待
・寄付額100万円=紫電改オリジナル模型(1/72)、新展示館支援者銘板への名前掲載
※その他、寄付金額に応じて様々な返礼品が用意されている

※クラウドファンディングのREADYFORページ
https://readyfor.jp/projects/shidenkai

※画像=紫電改展示館に保存されている「紫電改」(出典:日本航空協会)


※画像=重要航空遺産に認定される(出典:日本航空協会)

 


※画像=展示館が老朽化し新設されることが決まった(提供:日本航空協会)

 


※画像=移設費用確保でクラウドファンディング(提供:READYFOR)