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日本空港ビル、利益供与問題受け再発防止策
取締役の処分も実施
日本空港ビルデングは6月12日、鷹城勲前会長・横田信秋前社長の主導で行われた、自民党元幹事長・古賀誠氏の長男に対する利益供与の問題を受け、6月12日開催の取締役会にて再発防止策を決議したと発表した。併せて、月額報酬の削減など取締役の処分も決めた。
経営体制の刷新として、執行への牽制とガバナンス強化の観点から、取締役会の過半数を社外取締役にする。経営責任の明確化やコーポレート・ガバナンス強化の観点から、相談役制度・役付取締役を廃止する。
トップの指名プロセスや育成方針もてこ入れする。任意の指名・報酬諮問委員会の委員長は、独立社外取締役から選任する仕組みに変える。指名諮問委員会は、人財に関わる情報提供を受け、社外取締役主導で、CEOの後継者育成計画や社内役員の選定基準のあり方、指名プロセスの透明化についての議論が行える体制を整える。
経営トップへの牽制機能も高める。常勤の監査等委員を新たに選任し、継続的に監査の実効性と効率性を高める。「監査等委員会室」を新設し、監査室から監査等委員会事務局に関する所掌を移管することで、監査当委員会の実行性を確保する。内部統制システムにかかるグループ監査機能の実効性を強化する目的で、内部統制部門、内部監査部門の担当役員を選任する。
組織風土の改革として、組織から独立したグループ全体のコンプライアンスを担う法務・コンプライアンス室を設置。監査等委員会および利害関係のない弁護士事務所と連携し、経営陣から独立した体制により適切な対応・解決に取り組む。 従業員がコンプライアンスに関する重要事項を直接通報・相談できる、公益通報者保護法に対応した社内コンプライアンス通報窓口を、法務・コンプライアンス室に設置する。心理的安全性の観点から、安心して通報者が利用できる外部コンプライアンス通報窓口を社外弁護士事務所に設置する。さらに、 取締役及び執行役員のコンプライアンス事案に関しては、独立性の高い監査等委員である社外取締役へ直接通報できる仕組みにする。
このほか、経営改善委員会やコーポレート・ガバナンス委員会も設置し、健全で透明性の高い統治体制構築を図る。
取締役の処分については、田中一仁社長と大西洋副社長、鈴木久泰取締役は月額報酬1か月分と2024年度分賞与をそれぞれ50%減額する。小山陽子・藤野威専務取締役、松田圭史常務取締役は月額報酬1か月分を30%、24年度分賞与を50%減らす。監査等委員を含む社外取締役は、月額報酬1か月分を10%減額する。
羽田空港では、2006年9月から本格的にマッサージチェア事業が展開されてきた。これまで一貫して、古賀誠氏長男へ経済的利益を与える目的で、同氏が代表を務めるコンサルティング会社などを筆頭に、契約の相手方が選定・変更されてきた。横田氏および鷹城氏が、空ビル子会社ビッグウイングを通じ、一連の取引を主導していた。