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2025.06.09

WING

世界初、無燃料ロケット実用化へ推力生成実証に成功

 トラクターミリ波ビームでロケットを誘導

 燃料無しで飛行する、無燃料ロケット―――。そんな夢のようなロケットの推力生成実証に、東北大学大学院工学研究科、筑波大学学数理物質系/プラズマ研究センター、そして東京都立大学大学院の研究チームが成功した。
 轟音と共に空気を切り裂き、重力に逆らって上昇する現在のロケットは、大量の燃料を消費する。そのため巨額のコストがかかってしまうことが大きなネックとなる。そうしたなかそうしたなか東北大学大学院工学研究科の高橋聖幸准教授と山田峻大大学院生(研究当時)、筑波大学数理物質系/プラズマ研究センターの南龍太郎准教授と假家強教授、そして東京都立大学大学院システムデザイン研究科の嶋村耕平准教授らは、独自に開発した「トラクターミリ波ビーム推進機」の推力生成実験を行い、ロケット前方からのミリ波ビームの照射により、ビーム源に引き寄せられるような推力を発生させることに世界で初めて成功した。しかも実験ではプラズマはロケット後方へと排気され、ビームの射線上には残留せず、繰り返しビーム照射時の推進性能が維持する可能性を確認した。
この技術を応用すれば、例えば地球からの軌道上へ燃料を使用することなくロケットを打ち上げることができるほか、将来的には軌道上の衛星からトラクターミリ波ビームを照射して推力を遠隔で供給し、火星など地球外惑星からのロケット打ち上げへと繋がることが期待できそうだ。

※この記事の概要
・次世代ロケットで注目されるマイクロ波ロケット
・東北大が考案したトラクターミリ波ビーム推進  など