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2025.04.07

【潮流】「もっと予算!」の先に「もっと未来!」

 JTBによると、2025年ゴールデンウィーク(GW)の海外旅行者数は55万人とコロナ前の54.8%にとどまる。国際線の輸送力がほぼ回復し、パスポート取得補助などの需要喚起策を講じているにもかかわらず、その歩みは想定より遅い。
 円安に物価高という経済環境に加え、特に若年層で顕著な旅行意欲の低下は看過できない。29歳以下の女性では旅行意欲が前年から8.2ポイント減少している。
 しかし、市場は確実に変化の兆しを見せている。韓国・台湾など近隣アジアへの短期旅行が主流の一方で、欧米豪への長期旅行も一定数存在し、市場の二極化が鮮明になってきた。HISによると、海外旅行者の半数以上が3〜5日の日程を選択しており、そこには時間効率を重視する現代の旅行者像が浮かび上がる。
 目的地選択にも変化が見られる。従来人気だった韓国、台湾、ハワイに加え、政治的問題で低迷していた日本から中国への旅行が、上海へはビザ免除措置適用で前年比262.3%増と急伸した。また、LCCが就航するケアンズやセブ島など、コストパフォーマンスに優れた目的地に注目が集まっている。
 欧州方面ではイタリア、スペイン、ポルトガル、フランスへの関心が高まっているが、これは単なる観光回復というよりも、より「本物」を求める消費者心理の表れかもしれない。日本と比較的時差の少ないヨーロッパへの短期集中型旅行が新たなトレンドとなる可能性もある。