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2020.02.18

WING

空自23年度SSAシステム運用開始、レーダー整備着手

遠距離監視の空自、JAXAの近距離監視と分担

 航空自衛隊は、宇宙領域利用の優位性を確保するため、体制整備を進めているところ。特に2020年度には、宇宙を常時監視する宇宙作戦隊(仮称)を新編して、2023年度にも宇宙状況監視(SSA)システムの運用開始を目指す。そのために必要なレーダーについては、山口県山陽小野田市へ6基整備する計画で、すでに2019年9月から整備工事を開始したところ。宇宙領域の活用について、まずは宇宙空間の状況を把握することが取り急ぎ重要になるため、航空自衛隊としてSSAシステムの構築を急いで宇宙空間の安定的な利用を目指す。
 航空自衛隊は、SSAシステムの運用開始に向けて、SSA運用システムと、レーダーの整備を進める。さらに宇宙設置型光学望遠鏡を備えるSSA衛星を新たに導入する構え。2023年度にもSSA運用システムの運用を開始するため、東京都府中基地に宇宙作戦隊(仮称)を約20人で新編する計画だ。そこで重要になるのが、米国軍やJAXAとの連携になる。自衛隊としては、宇宙空間は全く未知の領域。そこで能力を獲得・強化するためには、知見の深い米軍など同盟国・友好国との連携や、専門の機関であるJAXAなどとの連携は必要不可欠なものとなる。
 実際に、空自でSSAシステムの運用を開始することになれば、監視を行う領域をJAXAと分担して行うことを予定している。空自では、ディープスペースといわれる5800キロ以遠の宇宙空間を新たに整備するレーダーで監視する。それよりも近いニアアースという宇宙空間をJAXAが監視を行うことになる。空自の監視で主なターゲットとするのが、地球から3万6000キロの位置に多いといわれる静止衛星だ。それらの衛星を監視して、宇宙空間の安定的な利用を確保する。ニアアースを監視するJAXAは、約1000キロの位置にある低軌道衛星が主な監視対象となる見込みだ。このSSAで重要なポイントとなるのが、空自とJAXAとの関係。これは双方でデータを共有することになる。今後、双方の情報をどのように共有していくのか、検討を進めていくことになる。

 

キラー衛星対応、相手妨害する能力獲得へ議論必要

 

宇宙領域の軍事利用、依存度さらに高まる

 

※図=SSAシステムのイメージ(提供:防衛省)