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2025.11.19

教育旅行、スポーツ交流に注力 将来のリピーターに期待【2026年ハワイ州観光局の取り組み ④】

教員向け研修旅行の様子

 

ハワイ州観光局 日本支局は、2026年に向けて教育旅行やスポーツ交流にも注力し、「未来のリピーター」となる若年層へのアプローチを強化する。ハワイは独自の文化と伝統を育み、日本との歴史的なつながりも深い。また多様な自然環境を有し、観光業をはじめ農業や水産業など幅広い産業が発展、近年では、医療やロボティクスなどの分野で世界をリードする研究開発が進む。さらに英語学習や国際人材の育成にも最適な環境を備えることから、ハワイは学習効果の高い教育旅行の目的地として注目を集めている。スポーツ交流においても、学生や若手アスリートの国際交流を促進する取り組みを進める方針で、教育旅行と共に若年層への認知拡大を図る考えだ。

 

 

教育旅行

教員向け研修旅行で文科省と協力

「学習効果の高いハワイ」を訴求

教員向け研修旅行の様子

 

 

 ハワイへの教育旅行は、コロナ前には年間最大154校が訪れた実績がある。観光局では、文部科学省の官民協働の海外留学促進キャンペーン「トビタテ!留学JAPAN」との共催事業として、「【高校等教員向け】探究型海外研修企画のためのハワイ視察プロジェクト」と題したハワイへの研修旅行を、昨年の7月と12月、今年の7月の計3回実施した。

 研修には全国各地から教員が参加。それぞれが事前に研修プランを作成し、オンライン・ワークショップで発表した。参加条件には「今後も新たな探究型研修を創出する意欲と遂行能力を持つこと」とあり、いずれの教員も有意義な研修とすべく意識的に臨んだ。

 現地では、戦争と平和、ハワイの歴史文化、自然との共生をテーマにゆかりのスポットを訪れたほか、ハワイ大学やビショップ・ミュージアムも見学し、多様な学習素材に触れた。フリー研修では、各自が事前プランを実践し、帰国後にはワークショップで成果を共有。実際の探究型教育旅行の実現にもつながっている。

 観光局では今後も文部科学省と協力し、同様の研修旅行を継続実施する方針。観光局代表の寺本竜太氏は「少子化のなかで学校側も意義ある海外研修の機会提供が求められている。ハワイが探究型学習の分野において効果の高い目的地であることを訴求していきたい」と語る。さらに「教育旅行を通じ、質の高い『未来のリピーター』として若年層を大切に育てていきたい」と述べた。

教員向け研修旅行の様子

 

 

 

「学びの宝庫」ハワイで体験できる学習/研修テーマ

 

① 国際交流、英語学習

英語で実践&コミュニケーション、異文化交流で広がる世界観

英語圏であり、多文化共生の環境のなか、グローバル人材育成にも有効

 

② 歴史&史跡、文化

ハワイ独自の歴史と文化を知る

ハワイ王国や日系移民の歴史、ポリネシアにおけるハワイ固有の文化を探求し、日本とのつながりを通じて日本を見つめ直す機会にも

 

③ 平和学習

日本とハワイの関わりから学ぶ

日系人の歴史や近代史にも触れ、平和の尊さ、絆の深さを学ぶ

 

④ 自然学習

大自然に刺激される学習意欲、SSHの派遣先にも

島ごとに異なる自然環境、海洋学や天文学は世界トップレベル

 

⑤ 産業学習

多彩な産業学習の場、先進的な取り組みも学べる

観光業や農業だけでなく、自然エネルギー、医療、ロボティクスなども

 

⑥ イベント、チームビルディング

気軽に参加できるイベント、現地の学生たちとの交流は一生の思い出に

文化やスポーツ、アート、また環境保護活動を通じてよりハワイの真髄に触れる体験に

 

 

 

スポーツ交流

日本人アスリートを誘致

全米での活躍の後押しに

 

 今後、注力していくのがスポーツ交流だ。2024年にホノルル市郡と渋谷区が姉妹都市交流を締結。その後交流事業の一環として、ハワイ大学の女子バスケットボールチームが渋谷区を訪れ、学校生徒とのスポーツを通じた交流を行った。

 こうした交流以外にも取り組んでいるのが、日本人アスリートのハワイへの誘致だ。バスケットボール選手のジェイコブス晶氏はハワイ大学への入学を足がかりに活躍、パリオリンピックで男子バスケットボール日本代表に選ばれた。現在、ハワイ大学アメリカンフットボールチームで重要なキッカーを務める松沢寛政氏も日本人初のNFL入りが期待されている。

 こうした「未来の原石」をハワイに誘致し、ハワイを足がかりに「全米での活躍の後押しをしたい」(寺本氏)考え。新たな取り組みとして期待がかかる。

ハワイ大学女子バスケットボール部と渋谷区の学校生徒との交流の様子

 

 

姉妹都市交流

来年5月に姉妹都市サミット

双方向による観光交流をサポート

 

 スポーツ交流に限らず、観光局で力を入れるのは姉妹都市交流だ。日本とハワイの間には、現在36の姉妹(友好)都市交流があり、さまざまな分野で活発な相互交流が行われている。来年5月20~22日にはハワイ日米協会主催による「第2回 ハワイ―日本 姉妹州・姉妹都市サミット」が開かれる予定だ。

 2023年7月の第1回では、日本から22自治体(6県、16市町村)の代表者が参加。地元ハワイからは州知事をはじめ各郡・市のトップが集まった。サミット期間中は教育や持続可能エネルギー、持続可能な観光、ビジネス/経済など、さまざまなテーマで意見交換が行われ、友好関係を深める場となった。

2023年7月の「第1回 ハワイ―日本 姉妹州・姉妹都市サミット」の様子

 

 

 寺本氏は「渋谷区とホノルル市郡の姉妹都市提携を模範に、他の自治体にも双方向交流が波及することに期待したい」と語る。また、観光局 日本支局長の稲田正彦氏は、日米観光交流年2024について触れ、「青少年交流など、双方向の交流が増え、日本側の自治体へのインバウンドも増加した。交流できる人は増えており、旅行会社にとっても良いフックになるのではないか」と述べ、姉妹都市交流による旅行会社のビジネス拡大にも期待を寄せる。

 

 

 

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