記事検索はこちらで→
2019.01.15

WING

海保2019年度予算と補正予算合わせ20%増に

尖閣対応と国民安全で装備増強が続く

 海上保安庁の2019年度予算案は対前年度3%増の総額2177億5300万円となるが、2018年度補正予算357億2200万円が計上され、合計すると事業規模は2534億7600万円と前年度当初予算より20%増となる。船艇の就役増に伴い定員も423人増(定員合理化等で223人減のため実質200人増)となる。

 

搭載用ヘリ5機を整備、2019年度に3機が就役
中型測量航空機も新たに着手

 

 主要な事項と予算額は次の通り。
1. 戦略的な海上保安体制の構築=369.7億円(2018年度補正予算を加え524.5億円) 
(1)「海上保安体制強化に関する方針」に基づく体制の強化=356.9億円(補正予算を加え511.6億円)
 法執行能力、海洋監視能力、海洋調査能力の3点の強化を図るため、次の5項目を柱とする海上保安体制の強化を確実に進める。また、体制強化により増強した巡視船・航空機等の確実な運用を図る。
[1]尖閣領海警備体制の強化と大規模事案の同時発生に対応できる体制の整備=264.7億円(補正予算を加え337.5億円)
▼ヘリコプター搭載巡視船=4隻、128.6億円(2019年度2隻、2020年度1隻、2021年度1隻就役)
▼大型巡視船=4隻、79.5億円(2019年度2隻、2020年度1隻、2022年度1隻就役)、うち2018年度補正予算で新規1隻新規着手、2018年度補正予算を加えると122.4億円
▼巡視船搭載ヘリコプター=5機、29.1億円(2019年度3機、2020年度1機、2021年度1機就役)、うち2018年度補正予算で1機新規着手、補正予算を加えると58.3億円
▼基地整備=25.3億円
[2]海洋監視体制の強化=39.6億円(補正を加え109.6億円)
 広大な本邦周辺海域における監視体制強化のため、航空機の整備、情報通信体制の強化を図る。
▼新型ジェット機=3機、12.4億円(2019年度1機、2021年度1機、2022年度1機就役)、うち2018年度補正で1機新規着手、2018年度補正を加えると57.8億円
▼中型ヘリコプター=1機(2021年度就役)、2018年度補正予算新規着手で10.4億円
▼映像伝送機能の強化=2018年度補正で9.9億円
▼監視拠点の整備=4.1億円(2018年度補正を加え8.4億円)
[3]原発等テロ対処・重要事案対処体制の強化=44.1億円
 原発等テロ脅威や日本海の大和堆周辺海域での北朝鮮漁船への対応等に適切に対応するため、体制強化として巡視船の整備を進める(再掲)。
▼大型巡視船=2隻(2019年度1隻、2020年度1隻就役・再掲)、37.5億円
[4]海洋調査体制の強化
 他国による海洋境界等の主張に対し、日本の立場を適切な形で主張するべく、必要な海洋調査体制を整備する。
▼大型測量船=2隻、(2019年度1隻、2020年度1隻)、40.1億円
▼中型飛行機(測量機)=1機(2020年度就役)、2018年度補正予算で新規着手10.0億円
▼自律型海洋観測装置(AOV)=4基、2018年度補正予算で新規着手1.9億円
[1~4]により増強した巡視船・航空機の確実な運用=434.0億円(補正を加え491.8億円)
 所要の燃料費、維持費。
[5]基盤整備
▼教育訓練施設の拡充=3.0億円
(2)海洋状況把握(MDA)の能力強化に向けた取組等=9.4億円
▼海洋状況表示システムの機能強化=1.1億円
(3)法の支配に基づく海洋秩序維持のための取組み=3.5億円
▼海上保安政策プログラム(海保大修士課程)のための教育施設の改修=0.3億円
▼諸外国の海上保安機関との連携強化=3.2億円

 

ヘリ巡3隻の延命・機能向上で隻数確保

 

※写真=6機目の整備が決まったファルコン2000LXS(提供:ダッソー・ファルコン・アビエーション)

※写真=同型船2隻が建造されるヘリコプター搭載大型巡視船「あきつしま」(提供:海上保安庁)