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2018.07.05

WING

小野寺防相、防衛省とJAXAの協力強化へ

宇宙開発利用を重視、さらなる深化

 小野寺五典防衛大臣は、現在見直しを進めている防衛計画の大綱および中期防衛力整備計画において、宇宙空間の活用が新たな防衛分野として重要な検討課題だとして、JAXAとの協力関係を一層強化させたい考えを示した。これは7月2日にJAXA筑波宇宙センターを視察した際に示した考え。JAXAと防衛省が連携して進めている宇宙状況監視(SSA)について「安全保障関連での宇宙開発利用を深化させたい」と述べた。
 小野寺大臣は、防衛省・自衛隊での宇宙分野の取組みについて、宇宙基本計画に沿ったかたちで、JAXAの知見を活用してきたことを説明。さらに、宇宙空間の活用は重要な検討課題だとして、「JAXAの保有する様々な技術的な知見などを活用することが、これまで以上に重要になってきている」と述べ、防衛省にとってJAXAとの連携が今後重要になることを説明した。
 また、JAXAが取り組む研究・開発について「すべての分野において、防衛省・自衛隊が、今後、積極的に検討すべき内容が多かった」として、視察の成果を説明。特に、すでに取組みを進めているSSAでは、山口県山陽小野田市に2022(平成34)年を目標に施設の設立を目指しているため「宇宙の安定的な利用のためにも、この分野に積極的に関わっていきたい」との考えを示した。
 SSAに関して、防衛省では自衛隊へ専門部隊を設置する計画だが、SSAの重要性について、スペース・デブリ呼ばれる宇宙ゴミが国際社会の中で大きな問題となっていることや、車の自動運転など新しい技術の基礎が宇宙の安定利用になることを説明した。また防衛の面でも弾道ミサイル防衛などでも宇宙空間を利用しているとした。その上で小野寺大臣は「国際社会と協力して宇宙の安定利用のための役割、また、アジア地域での宇宙状況監視を日米で共有することで、重要な知見を得ることができる」と語った。
 JAXAとの連携については現在、航空自衛隊員をJAXAへ派遣して、人事的交流を行っているとした。今後も各プロジェクトの中で交流を進めたいとし「特に防衛装備庁が開発・研究している2波長赤外線センサを始めとした防衛装備についても、今後さらに交流を深めていきたい」考えを強調した。
 また、米軍では宇宙軍創設の動きも聞かれるが、米側との連携としては、関心の高い分野などを見極めた上で取り組む考えを示した。しかし、日本では現在のところ、具体的な計画としているのが山陽小野田市の情報監視部隊の創設であり、具体的な連携の取組みについては今後検討していくことになる。