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2020.02.14

WING

SKY洞社長、成長戦略には「次期機材が鍵」

国内はローカル-ローカル、国際線も成長ドライバーに

 スカイマークの新社長に就任した洞駿社長が2月13日、都内で記者会見に臨んだ。洞社長は今後の成長戦略について、「次の機材をどうするのかということが重要なファクター。国内線、国際線でも機材が足りない」ことに言及。成長戦略を推進するためにも、次世代機をどうするのかということが、キーファクターになることを明かした。
 ちなみに、新機材についてはボーイングの737MAXが最有力とみられるが、737MAXの運航停止措置が依然として解除されていないなど、「なかなか見通しが立たない状況」にあるとコメント。西岡成浩専務執行役員は「昨今のボーイングの件も踏まえて安全確認が大前提。慌てて決めることはしない。別の代替案も含めて同時に検討している」として、737MAXではない他機種に切り替える可能性を示唆した。
 国内線の路線展開については、更なる発着枠の増枠を見込むことができないこともあって、「羽田を起点とするネットワークを開設していくことは、これからは難しい」とコメント。ドル箱路線である羽田国内線を使った新展開を図ることは難しいとして、「拠点として神戸、茨城などを有しているので、今後はローカル-ローカル線」に成長の糸口を見つけていく。
 さらには成長ドライバーとして期待できそうなのが、国際線だ。国際定期便としては昨年11月末にサイパン線の運航をスタート。今月13日にはパラオチャーターを実施するなど、新たな展開を図っている。
 洞社長は2020年度内のパラオ定期便就航を示唆。さらに「その先は国際線の展開は重要な成長戦略になっていく」との認識を示し、国際線をスカイマークの成長ドライバーと捉えていることを明かした。
 「国内線のローカル-ローカル線が増加していけば、イールドが下がり、一方でコストが増える。バランスをみながら今後の生産性を上昇し、単位当たりのコストを切り詰めていくことが課題だ」とコメント。「ITシステムなどの近代化も不可欠。バランスを取りながら、それぞれの課題を解決していくことが重要」との認識を示した。
 
洞社長、「黄色に光る唯一の存在」
佐山会長、青く染まらず独立系維持強調

 洞社長は航空局長などを経て、全日空(ANA)の常勤顧問に就任。2011年にはANAの代表取締役副社長に就任するなど、ANA在籍期間が長い。
 それだけにスカイマークが”青色”に染まるのではないかという声が囁かれるが、洞社長は「国内マーケットをみても、二色(ANA〔青〕、JAL〔赤〕)に分かれているような状況のなかで、スカイマークは小さいけれどもキラリと黄色の光を放つ唯一の存在」であることに言及。スカイマークが独立系として存在することは、「国家国民、航空業界の発展のためにもぜひとも必要なこと」との認識を示した。
 洞氏の社長登板を決めた佐山会長は、「ANAの協力でここまで来ている」と、経営破たん時にANAがスカイマークの支援に回ったことにあらためて謝意を表明。「上場後も良い関係を維持したい」と話すも、「ただし、独立系を維持することを使命としており、独立系を維持するかたちにしたい」と、洞社長の登板でANA色に染まることに対する一部の懸念を一蹴。これまで通り、あくまで独立系航空会社であり続けることを強調した。
 スカイマークの出資比率をみると、佐山会長率いるインテグラルが50.1%、日本政策投資銀行と三井住友銀行が設立した投資事業組合が33.4%、そしてANAHDが16.5%を出資している。
 ANAは当初、スカイマークと予約システムを繋ぐことを画策し、その力を自社に取り込もうと試みるも、スカイマーク独自のシステムであっても搭乗率が押しなべて良く推移していることから、ANA・スカイマークの予約システムを連接することは、スカイマークにとって旨味のあるものではなく、未だ実現されていない状況が続いている。
 洞社長は何も他社とのコードシェアを否定している訳ではないとの見方を示しつつ、「海外からのスカイマークの国内線を予約することができるインターライン契約をできるようにしたいし、必要に応じてANAも含めて他社とのコードシェアを展開していきたい」と、将来的にANAとのコードシェアを展開することも検討材料であることを示唆。しかしながら、他社とのインターラインやコードシェアなどといった提携を結ぶためには、「そのためにはシステムを抜本的に変えていかなければならず、今すぐにはできない」と話した。
 その上で、「国内線L/Fは84%ぐらいあって、コードシェアを展開するメリット、大局的な意義は今のところない」ともコメント。一方で「地方路線などにおいてはコードシェアすることで、相互に利益を得るということはあると思う」として含みを持たせた。

 再上場向け審査中
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