2019.12.10

WING

陸自新小銃にも「ア・タ・レ」は健在か

新小銃は「HOWA5.56」、新拳銃は「SFP9」に

 防衛省は12月6日、自衛隊が現行装備している89式小銃と9mm拳銃の後継として選定を進めていた新小銃と新拳銃について、新小銃を豊和工業製の「HOWA5.56」に、新拳銃をドイツ・HECKLER&KOCH社製の「SFP9」に決定したと発表した。ちなみに、今年8月に公表した2020年(令和2年)度概算要求では、具体的な種類は選定中としながらも、新小銃を10億円で3283丁、新拳銃を約3000万円で323丁要求していたところ。
 防衛省では2018年(平成28年)度予算で、新小銃選定のために、豊和工業製「HOWA5.56」、HECKLER&KOCH製「HK416」、ベルギー・FN HERSTAL製「SCAR-L」の3品種を参考品として取得。また、新拳銃でも同様に2017年(平成29年)度予算で、HECKLER&KOCH製「SFP9」、イタリア・BERETTA製「APX」、オーストリア・GLOCK製「Glock17」を参考品として取得して試験したという。

 

 制式名称は「制式化までまだ未定」

 

 陸上幕僚監部広報室によれば、試験では有効射程などの性能や整備性や価格面などを点数化し、点数が高いものを選定したとのことだが、その点数や最終的に決め手となった評価点については公表はしないとしている。また、89式小銃のように名称が「○○式」となるのかと聞くと、「制式化までまだ未定」と答えた。さらに、7.62mm弾を使用する「HOWA7.62」といった異なる口径の小銃を採用する可能性については否定している。

 

新小銃の特徴を写真から読み取る
3点制限点射は廃止、現代的な外観に

 

 また、WINGでは陸幕広報室から新小銃の写真を提供してもらった。この新小銃の写真から新小銃の特徴を読み取ってみた。
 全体の外観からは各国の小銃と同等の現代的な小銃となったことが伺える。射撃モードの切り替えレバーの周りには64式以来の伝統となっている「ア・タ・レ」の文字の内「ア」と「レ」が見え、文字の間隔から切り替えレバーの作動範囲は90度程度と見られる。最大でも180度程度だろう。ただ、89式で採用した3点制限点射の「3」の文字はないことからこの機能は新小銃には採用されなかった模様で、安全装置がかかる「ア」から恐らくセミオート射撃の「タ」を経てフルオート射撃の「レ」の順番で変更できると見られる。
 また、使用する弾薬は5.56mm小銃弾で変わりないものの、弾倉は金属製から樹脂製に変更したようで、弾倉全体にリブと残弾確認のためかスリットが設けられている。薬莢排出口は89式小銃と同様に銃右側にあり、こう桿は銃左側、もしくは左右両方に付いているようだ。そのほか、握把には滑り止めが施されているようだ。
 新小銃の弾倉挿入口は89式と違って拡大されているようで、89式小銃では小型だった弾倉着脱ボタン、そしてボルトを止めるためのスライド止めも大型化しているようだ。また、新小銃の下部と上部は、89式小銃と同様に弾倉部前方のピンを軸に分解できるとみられる。さらに、新小銃には上面全面と下面の前方部位に、各種光学機器などが搭載できるレールが確認でき、必要に応じて搭載が容易となっている。なお、銃の左右にレールがあるかは、この写真からは分からない。銃の左側面にはスリング用と見られるU字環がある。
 銃身にはこれまでの自衛隊小銃とは違って、シンプルな消炎制退器があり、剣止めらしきものもあることから銃剣を付けることができるとみた。銃のストック部分は樹脂パーツで、チークパッドが付いており、必要に応じて折り畳むことができるようになっている。ただストックが伸長したり、チークパッドを調節できるかは分からない。
 これらの推測から、WINGでは新小銃は現場から出ていた89式小銃の不満点を多く改善していることが伺え、現代的な小銃になったと考え、また弾倉など樹脂部品を更に採用することで、水陸機動団など多様化する陸上自衛隊の任務においても、錆び付くことなく活躍できるよう設計されていると推察した。

 

※写真=防衛省が89式小銃の後継として選定した豊和工業製「HOWA5.56」。制式化後の名称は「まだ未定」とのこと(提供:陸上幕僚監部)

※写真=同じく防衛省が9mm拳銃の後継として選定したHECKLER&KOCH製「SFP9」(提供:陸上幕僚監部)