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2018.05.14

地方のナイトタイムエコノミー

 ゴールデンウィークを利用して、広島にドライブ旅行した。東京−広島往復で、走行距離は1850km。これまで、北は八戸から南は島根、松山、高知と車で出かけたことはあるが、今回ほど、体が楽だったことはない。既に、60歳を過ぎ、肉体は衰えているはずなのに、夜通し運転しても疲れを余り感じなかった。
 最大の理由は、自動車の技術進歩にある。アダプティブ・クルーズ・コントロール(ACC)による一定速度運転、車間距離維持機能、車幅維持機能、衝突防止装置など、高速クルージングはほとんど自動運転で、ドライバーはハンドルを持っているだけ。運転の楽しみは薄れたが、長距離ドライブは本当に楽になった。
 訪日旅行者の増加、FIT化とともに、既に増加傾向にあるレンタカーによる国内移動は、これから益々増えてくると予想される。自動車の安全性が高まり、レンタカードライブはさらに成長することを期待するが、その一方で、道路のインフラ整備は進んでいるとは言い難い。
 夜10時以降のサービスエリア、パーキングエアリアの営業は限定的で、24時間営業はサービスエリア併設のコンビニ程度。以前と比べれば、フードコート、土産物の一部は開いているものの、ゴールデンウィーク、夏休み、年末年始ぐらいは営業時間を延長してほしいと思う。
 日本の場合は、高速道路もそうだが、繁華街でも営業時間が残念ながら短い。日本人相手ならそれで良かったかもしれないが、訪日旅行者を対象にするなら営業時間の夜間延長を検討する必要がある。
 現在、観光立国制作の中で、ナイトタイムエコノミーの活動が注目されているが、博物館、美術館など公共施設の夜間延長とともに、街全体のナイトタイムエコノミーを考える時期に来ている。
 とくに地方こそ、ナイトタイムエコノミーを真剣に考えるべきだ。例えば、日本発着クルーズはもとより、外航クルーズの日本寄港が増加しているが、せっかく上陸して、日本の都市を散策しようにも午後5時で終わりでは観光は厳しい。もし観光促進で地方創生をめざすなら、生活者目線ではなく、訪日旅行者目線で観光を考えてほしい。
 東京や大阪などの大都市圏でよりも、地方活性化のためにナイトタイムエコノミーを振興すべきではないか。
 広島で宿泊したグランドブリンスホテル広島で、マネージャーと話す機会があった。東京からの異動で広島に来たが、最も実感するのは、広島が訪日旅行者の日帰り圏になっていることだという。
 広島には宮島、原爆ドームと世界遺産があり、訪日旅行者は地方都市でも非常に多い。だが、その大半は宿泊することなく、大阪、福岡等の大都市圏へ移動するという。
 グランドブリンスホテル広島は広島市街地から離れていることもあり、夜になると周辺は真っ暗で、確かに夜出かけるのは難しいかもしれない。
 広島の場合、新幹線の駅と繁華街の紙屋町が離れており、繁華街に訪日旅行者が繰り出すのもちょっと地理的に課題があるようだ。
 広島ならではの繁華街は、訪日旅行者にも人気が出る要素があるが、街を歩くと、訪日旅行者を対象にしているとは言い難い。街全体がまだ訪日旅行者目線ではなく、生活者目線と言える。
 大阪や福岡では、訪日観光で街全体の経済振興の意気込みを感じるが、広島だけでなく、ある程度の人口規模を持つ地方都市では、観光に対する熱量をまだ感じられない。行政はもとより市民に、訪日観光促進の必要性を感じていないからかもしれない。
 政府、観光庁が訪日観光による地方創生をいくら訴えても、地方にその気がなければ笛吹けど踊らずだ。地方の観光DMOの温度差も、その辺りに理由があるのかもしれない。今後の訪日旅行の地方分散は、ナイトタイムエコノミーがカギになるだろう。(石原)