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2019.08.12

訪日・海外旅行に逆風

 JTB総合研究所は、上半期のデータをベースに、2019年の訪日旅行者数を前年比7.4%増の3350万人と予測した。主要市場の減速の影響で、前年の伸び率8.7%増を下回るが、この数字には、7月上旬に始まった韓国からの訪日旅行キャンセルは盛り込まれておらず、8月2日の韓国に対する「ホワイト国」除外で、「挙国一致」で反日気運が一気に盛り上がり、これが長期化すると、訪日旅行者数は急減速しそうで、人数ベースで、どの程度に着地するか予測がつかない。
 JTB総研によると、2019年上期の訪日客は前年の自然災害の影響が残り、韓国は前期比3.8%減、台湾は1.0%減、香港は1.1%減と東アジア4大市場のうち3大市場でマイナスとなった。
 また、訪日だけでなく、最大市場の中国ではアジアへの旅行者数全体の伸び率が下がり、タイの海外旅行者数も伸び率も鈍化、韓国、香港の海外旅行者数も減速している。
 台湾、香港では訪日旅行需要が韓国に流れており、中国でも訪韓旅行者数が前年の反動増となっており、訪日旅行の伸び率が鈍化した要因となっている。
 下期は中国、韓国、台湾、香港の4大市場で、前年の災害の影響からの反動増が期待され、上期より伸び率が上昇すると予想しているが、年間の伸び率は前年を下回ると予測した。
 2019年の訪日旅行者数は上期が4.5%増と低調で、JTB総研では、これは日本市場だけでなく、市場横断的に海外旅行需要の減速が広がったと指摘。一方で、日本発着の国際線座席数は災害前からの伸び率を維持しており、下期は前年同期の災害の反動増で10.3%増を予測した。
 年間の訪日旅行者7.4%増の予測数値は、人数ベースで231万人の増加となるが、このうち中国からは上期11.7%増・下期14.9%増:年間13.4%増の112万人が増加し、中国からの年間旅行者数は900万人を超えて950万人と、1000万人の大台にあと一歩まで迫ると予測している。
 また、欧米豪からの旅行者数は下期にラグビーワールドカップが日本で開催される効果で、上期11.7%増・下期22.6%増:年間17.2%増の62万人増え、年間旅行者数425万人と市場別では最大の伸びを予測した。
 対照的に、台湾は上期1.0%減・下期3.0%増:年間0.9%増、4万人が増加して年間480万人、香港は上期1.1%減・下期5.0%増:年間1.9%増、同じく4万人が増加して年間225万人にとどまる見通し。
 韓国は上期3.8%減・下期8.9%増で、年間2.1%増、16万人が増加して年間770万人と予測した。ただし、上期のデータをベースにした予測であり、下期が始まった7月以降の訪日キャンセルの動きを見ると、予測するのが難しい状況になっている。
 既に、日本への報復措置として、韓国政府高官が訪日旅行の自粛を言い出し、航空会社が日韓線の運休を決めるなど、訪日旅行減少の影響は出ている。
 とくに、九州・中国・北海道など地方路線が運休が顕著で、九州地方などは上期から韓国からの需要減が大きく、下期は最も影響を受けそうだ。
 一方で、「反日運動」は日本からの韓国旅行にも大きな影響を与えている。日本から韓国への上半期のアウトバウンドは、インバウンドとは逆に前期比26.6%増と突出して伸びており、年間過去最高の353万人を予測していたが、どこまで影響が出るのか、こちらも予測がつかない。
 訪日旅行の2020年までの4000万人の目標は、日韓の経済問題を割り引いても厳しい状況だったが、現状のエスカレートぶりでは、達成は極めて難しい状況になった。
 海外旅行は韓国に加えて、香港がデモからストライキへに拡大し、両方面のキャンセルが大きく、とくにアウトバウンドを牽引していた韓国旅行の冷え込みは、2000万人達成に大きな影響を与えるだろう。(石原)