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2024.05.09

WING

ネット環境なしでも端末同士つなぐDittoの技術

 フライト中も通信維持、情報の即時共有が可能に

 

 インターネットに依存せずに端末同士のデータ同期プラットフォームを提供する米国のDitto Live Incorporated社は5月8日、来日したアダム・フィッシュCEOによる事業説明会を開き、同社の技術が航空業界をはじめ幅広い業界で有効であることを説明した。すでに国内航空大手2社ではこの技術を採用し、運航中の機内で運航乗務員が旅客情報などを即時共有できるようになるなど、有用性を示している。アダムCEOは、航空業界のほか飲食や建設などの業界でこのサービスを展開しているとし、今後は医療、災害、防衛などの分野への発展に期待感を示した。
 Ditto社の通信ソフトウェア技術は、端末自体が有するBluetooth、Wi-Fi、LAN、P2Pなど複数の接続手段を使って、端末間でリアルタイムに同期させるもの。アプリを導入した端末が、同じアプリを持つ端末を見付けると自動的に接続してデータベースを同期させる。
 この技術の強みはオフライン環境でもネットワークを維持すること。各自の端末同士が通信を続け、端末そのものを中継することで、網の目状に通信を行う。そのため、劣悪な通信環境でも1つの端末がデータベースと接続できれば、すべての端末が同じ情報を共有できる。不意にネット環境がなくなっても端末同士で動作を続けるため、業務を中断するリスクを大幅に軽減できる。
 さらに端末のあらゆる接続手段を使ってお互いをつなぐため、安定性に優れていることも特徴の一つ。同期が途切れてもデータの不整合が発生しにくい構造となっており、ネットワークのアクセスが集中して通信が混雑した場合でも、データベース間の不整合回避として活用することもできる。端末がより接続環境の良い端末を探しながら接続を変えていくため、通信網を維持し続けることができる。
 アダムCEOは、この技術を使うことで「エッジサーバーを取り除きたい」と話した。全端末がクラウドを経由するネットワークは、同期できないリスクなどが高く脆い面がある。また、ローカルでサーバを保持する仕組みでは、サーバ自体のメンテナンスや管理などが必要で、費用面などの負担も大きくなってしまう。各端末がサーバとして、経由地として動き続ければ、そうした課題の解消につながることになる。

 

※写真1=プレゼンを行うアダム・フィッシュCEO

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