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2023.10.26

WING

IHI、PW1100コンタミ対応で鶴ヶ島整備能力を3年後2倍に

 影響額1600億円と試算、24年3月期は900億円の純損失転落

 IHI航空・宇宙・防衛事業領域の盛田英夫領域長(常務執行役員)は10月25日、A320neo搭載用エンジンであるPW1100G-JMの高圧タービン・ディスクおよび高圧コンプレッサー・ディスクで、一部期間に使用された粉末冶金にコンタミネーションが発生していた問題で、同社の鶴ヶ島工場の整備能力を、「3年間で約2倍まで増強する」計画を明らかにした。
 盛田領域長は「お客様が航空機を安全に運航して頂くことが最も大切な事。そのために今ある部品をできるだけ早期に検査し、安全に飛んでいただくようにすることが最重要」との認識を示し、PW1100G-JMプログラムのリスク・レベニューシェアリングパートナーとして、他パートナーと共に整備能力の引き上げを図っていく考えを明かした。
 旺盛な需要が見込まれているA320neoは、今後世界各地で運航機数が爆発的に増加していく予測にあって、その搭載エンジンの1つであるPW1100G-JMエンジンの台数も指数関数的に伸びていくことが予想されている。
 そうしたなかIHIとしてはもともと鶴ヶ島工場の整備能力向上を計画していたが、今回のコンタミ問題への対応として、早期に顧客である航空会社の機体を運航に復帰させることができるよう、計画を前倒しするかたちで鶴ヶ島工場の整備能力を引き上げる決断を下した。

※写真=フロリダにあるPW1100G-JMの工場(提供:P&W)

※この記事の概要
 プログラム全体総額70億ドルのコスト
 IHI参画シェア15%分を決算に全額計上
 エンジン取り卸しから取り付けまで最大300日予想
 24年上期に600~650機の大量AOG発生へ