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2023.03.28

WING

脅威増すドローン、もはやSFではないレーザーで迎撃

レイセオン、レーザー兵器を日本市場へ売り込み

 映画や小説のSFの世界では、レーザー兵器が大気を切り裂いて照射される模様が幾度となく描かれてきた。しかしながら、レーザー兵器はもはやSF世界ではない。現実のものとして、実運用されているのだ。
 レイセオン・テクノロジーズ傘下のレイセオン・インテリジェンス&スペースは、ドローンや迫撃砲を迎撃可能な地上配備型の高出力レーザー(HEL:High Energy Laser)を開発することに成功した。現在、同社が開発した高出力レーザー兵器群が、米空軍や陸軍で採用が進み、基地や重要施設などに対するドローンなどといった脅威の襲来に備え、防備を固めている。
 誰もがインターネットなどを通じて簡単にドローンを入手することができるようになった昨今、諸外国ではテロリスト等がドローンを使って発電所や石油プラントなど、重要なインフラ施設を狙った攻撃が相次いで発生している。たった数百ドルほどで購入したドローンにより、重要インフラが破壊され、巨額の経済的損失を被る事態が現実的に発生しているほか、前線に配備された兵士の命をも脅かす存在となっている。
 ロシアによるウクライナ侵略でも、ウクライナ軍、ロシア軍ともにドローンの運用を加速した。ドローンが戦場をこれほどまでに戦場を席巻したことは人類史上初めてのことになったが、その戦果をみれば、ドローンが有効な兵器であることが、あらためて浮き彫りとなった。
 こうしたドローンを如何に対処するのか。国家安全保障上の最重要課題の一つともなってきており、日本国内でも防衛省・自衛隊の各基地はもちろん、原発や発電所施設など、さまざまな重要インフラ施設の防御力を高めていくことは待ったなしの課題となっている。
 そうしたなか本紙の取材に応じたレイセオン・インテリジェンス&スペースのアナベル・フローレス最高執行責任者(COO、グローバルスペクトル支配)は、「来日するたびに、防衛省・自衛隊関係者の皆様と良い議論をさせて頂いている」としながら、「防衛省関係者を米国に招き、実射デモンストレーションを行うことにしている。実際に活用することができるシステムであるということをご覧いただく」ことを明かした。
 その上で「日本には、日本独自のシナリオをお持ちであろう。それにあわせたかたちで、当社としてもご提案させて頂きたい」と話すなど、同社が開発した高出力レーザー兵器を、日本市場に売り込みを図っていることを明かした。
 「数百ドル程度の小型ドローンに対して、レーザーは少量のガソリン代程度で迎撃することができる」とし、「従来ならば100機のドローンを迎撃するためには、100発のミサイルが必要だったかもしれない。それをたった1台の車両で迎撃することができる」と話すなど、安価ながらも大きな脅威となる小型ドローンに対しては、レーザー兵器が最も効率的な対処能力であることに言及した。

※この記事の概要
・脅威応じて15kWと50kW使い分け
・品質自慢のレイセオンのレーザー兵器
 民生技術活用でブレークスルー
・維持整備で日本産業界とも協力可能性
・航空機搭載型も研究開発が深化
 年内に再飛行試験で実用化へ前進   など