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2022.10.24

WING

「第163回 日本が危ない」三方にらむ独自の防衛力を備えよ

ミサイル連射再開の真意は
北の中露接近に警戒せよ

 

 北朝鮮が夏から秋にかけて相次いで弾道ミサイルを発射した。10月16日からの中国共産党大会後には核実験を行うとの観測も出ている。これに対抗し、米国は原子力空母ロナルド・レーガンを日本海に派遣し米韓合同軍事演習を実施した。まさに2017年と同様に、チキンレースの様相を呈している。そうしたなかで注目されるのが、北朝鮮による中国とロシアへの接近だ。
 北朝鮮の動向を長らく追ってきた元米情報当局者は、元CNN北京支局長で南カルフォルニア大学米中研究所シニアフェローのマイク・チノイにある驚きを伝えた。驚きとは、8月に北朝鮮とロシア、中国との間で交わされたメッセージのことである。
 8月1日、北朝鮮の朝鮮中央通信は、国防相の李永吉が中国国防相の魏鳳和に中国人民解放軍創設95周年に際して「朝鮮半島と世界の平和と安定を共同で守るため、中国人民解放軍との戦略・戦術的な共同作戦を緊密にしていく」との祝電を送ったと伝えた。
 国家主席、習近平を中心に中国共産党が軍の近代化に成果を上げたとも称え、「抗日・抗米大戦の炎の中で共に戦った両軍は、社会主義の偉業を頼もしく保証している」と、両国の連携の重要性を訴えた。
 それから二週間後の8月15日、朝鮮中央通信は朝鮮労働党総書記、金正恩とロシア大統領ウラジミール・プーチンとの間で交わされた書簡について伝えた。
 北朝鮮の「祖国解放記念日」にあたりプーチンから寄せられたメッセージに対し、金は北朝鮮とロシアの友好関係について、朝鮮半島を支配した日本に対する「勝利」によって築かれたものとしたうえで、両国の「戦略的・戦術的協力、支援、連帯」は、敵対する勢力からの脅威と挑発を挫くため、新しいレベルに達していると強調した。敵対勢力とは通常、米国とその同盟国を指している。
 元情報当局者はチノイに「どちらも言葉遣いが印象的だ。北朝鮮がロシア、中国との安全保障関係を『戦略的・戦術的』と表現したのは初めてでこのような例はみたことない」と感想をもらした。その上で、「残念ながら、これはこれから起こるかもしれないことの前兆だ」と語った。

 

上空通過の発射で挑発加速
すでに実戦配備済みか

 

 この予言はすぐに現実となる。北朝鮮は10月4日、日本上空を通過した「火星12」とみられる弾道ミサイルを発射した。折しもこの日は米インド太平洋軍司令官のジョン・アキリーノが来日していた。アキリーノは4日午後、首相、岸田文雄と官邸で会談した。

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