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2021.10.20

WING

第139回「日本が危ない」経済安全保障を見誤るな

対象は中国、安全保障の一環
自律的経済構造の実現なるか

 

 岸田文雄新政権が掲げている大きな柱に「経済安全保障」がある。担当閣僚も新設した。新型コロナウイルスの感染拡大によるマスクの一時的不足など戦略物資の確保やサプライチェーンに関心が集まりがちだが、対象となるのは中国である。そこを見間違えると矮小化した議論になる。あくまで安全保障の一環としてみるべきだ。
 岸田は8日の衆院本会議での所信表明で、自身が掲げる「新しい資本主義」の柱の一つとして経済安全保障を挙げた。
 「新たに設けた担当大臣の下、戦略物資の確保や技術流出の防止に向けた取り組みを進め、自律的な経済構造を実現します。強靭なサプライチェーンを構築し、我が国の経済安全保障を推進するための法案を策定します」
 経済安保を主導するのが幹事長に就任した甘利明だ。甘利は自民党の経済安保戦略を議論する「新国際秩序創造戦略本部」の座長を務めた。同本部の幹事長が経済再生担当相となった山際大志郎であり、事務局長が経済安全保障担当相となった小林鷹之である。岸田内閣における甘利の影響力の大きさを物語るもので「岸田・甘利内閣」とも言われる所以だ。
 小林は昨年12月に同本部が取りまとめた「『経済安全保障戦略策定』に向けて」と題する提言のとりまとめに奔走してきた。来年の通常国会に「経済安全保障一括推進法(仮称)」を提出すべく精力的に作業を進めている。総裁選では政調会長となった高市早苗を応援したが、新設された担当相にはうってつけともいえるだろう。

 

警戒すべき中国の技術移転
盗んだ技術は軍事転用へ

 

 この提言では冒頭、「経済的手段をもって自国の意向を他国に押し付けたり、更には自国に有利な形で既存の国際秩序を作り替えようとする国も現れている」と、名指しこそしないものの中国を念頭に置いていることを明確にしている。

 

岸田文雄首相が100代目内閣総理大臣に(首相官邸ホームページから)

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