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2021.07.30

ウイングトラベル

★JATA会長に菊間潤吾氏、旅行業の再生託す

 坂巻前会長死去に伴い、2014年以来の再任

 日本旅行業協会(JATA)は7月29日に坂巻伸昭会長の急逝に伴う臨時理事会を開催し、新会長に菊間潤吾副会長(ワールド航空サービス代表取締役会長)を選任した。任期は役員改選のある来年6月中旬開催予定の定時総会までとなる。
 菊間新会長は海外旅行担当をそのまま継続し、副会長は国内旅行担当を?橋広行JTB取締役会長、訪日旅行担当を小谷野悦光日本旅行代表取締役社長が引き続き担当。JATAの役員体制は菊間会長、高橋・小谷野両副会長の3名体制となる。菊間氏新会長は8月5日に記者会見し、就任の抱負を語る。
 菊間氏は1952年7月15日生れ、69歳。獨協大学外国語学部ドイツ語科卒業後、1975年にワールド航空サービス入社、1996年に同社代表取締役社長、2013年に現職の同社代表取締役会長に就任した。
 業界活動歴は長く、代理販売・斡旋業の「旅行代理店」から旅行商品を企画造成する「旅行会社」へと旅行業の確立、地位向上に貢献した。2017年にフランス政府から長年の功績により、レジオンドヌール勲章シュバリエを受章した。
 2010年にJATA副会長、2012年から14年までJATA会長を努め、2014年から田川博己JTB会長のJATA会長就任に伴い、副会長として田川氏を支えた。
 また、2017年のJATAアウトバウンド促進協議会(JOTC)設立に伴い、JOTC会長に就任。2019年には悲願だった海外旅行2000万人の達成を成し遂げた。2020年の新型コロナウイルス感染症の世界的流行に伴う国際往来の消滅に対して、JOTC会長として海外・訪日旅行の再開に向けて陣頭指揮に当たっている。
 坂巻氏の急逝に伴い、2014年以来のJATA会長再任となるが、菊間氏は「海外旅行が2020年3月にストップして以来、既に1年4カ月が経過。海外専業旅行会社はもちろん、世界中の旅行産業が業態や規模の大小に関わりなく、大変な苦境に立たされている。死活問題という言葉では足りないほどの窮地にある」と業界の危機的な状況を憂いている。自身も中小規模の旅行会社の経営者だからこそ、会員の大多数を占める中小規模の経営者の痛み、苦しみを肌で知る。
 旅行業界がかつてないほどの危殆に瀕した中での会長就任となるが、逆に言えば、業界を熟知する菊間氏以外にこの難局を乗り切れる人はいない。坂巻前会長がめざした「会員のためのJATA、旅行産業の健全な発展」の遺志を受け継ぎ、旅行業の再生が菊間氏に託される。(ウイングトラベル編集統括・石原義郎)

 

※写真=日本旅行業協会(JATA)会長に就任した菊間潤吾氏