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2021.07.14

WING

ボーイング、787在庫100機の年内納入は「半分以下」

生産レートは一時的に月産5機以下に

 ボーイングは7月13日(米国シカゴ現地時間)、胴体部の生産不具合問題で引き渡しが一時停止となった787型機について、現在在庫となっている約100機のうち、年内に顧客に納入することができるのは、「半分以下に留まる」との見通しを明らかにした。
 ボーイングは不具合が発覚した787胴体部について米連邦航空局(FAA)と共同で検証・協議を進め、その検査及び改修作業をにあたってきた。並行して顧客に引き渡し前の在庫となっている787型機に対して、必要となる追加の手直し作業を特定することに成功した。
 ボーイングによれば、検査・改修作業に時間を要し、かつ再優先で作業を進めていることから、787型機の月産レートは月産5機を一時的に下回るという。具体的にどの程度まで生産レートが落ちるかは明らかになっていないが、徐々に月産5機へと回復する見通しにあるとした。
 787型機は最大で月産14機を生産した実績を有するが、米中貿易紛争、そして新型コロナパンデミックの影響で、生産量を大幅に落としている。同プログラムの大幅な減産は、ワーくシェア35%を持つ日本の航空機産業界にも大きく影響しており、日本航空機産業界の航空機生産額は大きく落ち込んだ。
 なおボーイングは今第2四半期(4-6月)期間中、計12機の787型機を納入した。このうち4月に9機を、5月に2機を納入していることが明らかになっており、6月の納入数は1機のみとなった様相だ。ちなみに今年1-6月期における787型機の累計納入数は14機に留まったかたちだ。

 737MAX、第2四半期は50機納入
 納入ペースアップ、受注拡大などようやく追い風

 787型機が生産問題への対応が迫られる一方、20ヵ月もの長期運航停止となった問題をクリアした737MAXは顧客に対する納入ペースが上昇した。ボーイングは第2四半期に50機の737MAXを納入することに成功しており、1-6月期の737MAX納入数は113機となった。
 737MAXはユナイテッド航空から最大200機の受注を獲得するなど、市場からの引き合いが強くなっており、同プログラムにようやく追い風が吹き始めた。
 なお、各プログラムにおける第2四半期の納入実績は以下の通り。

〈民間航空機部門〉
・737=50機(1-6月:113機)
・747=1機(1-6月:2機)
・767=8機(1-6月:13機)
・777=8機(1-6月:14機)
・787=12機(1-6月:14機)
・合計=79機(1-6月:156機)

〈防衛宇宙および安全保障部門〉
・AH-64新造=6機(1-6月:15機)
・AH-64再生=16機(1-6月:31機)
・CH-47新造=3機(1-6月:6機)
・CH-47再生=1機(1-6月:4機)
・F-15=5機(1-6月:8機)
・F/A-18=7機(1-6月:11機)
・KC-46=2機(1-6月:4機)

※写真=約100機ある787在庫機の年内引渡は半分以下に。生産ペースも一時的に落として対応する