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2021.07.06

WING

リモート管制が国内空港の将来ソリューションに

 運用効率向上や維持管理コスト減寄与に期待

 空港の管制塔業務の役割は、目視による空港における航空交通の安全運航を管理することだ。航空交通の安全の要の一翼を担い、日々の安全運航を支えている。一方で空港の管制塔は交通量の少ない空港における運用効率化や柔軟性、さらには維持管理に費用がかかるなど、複数の課題を抱えている

 。そうした管制塔が抱える課題に対するソリューションとして期待されているものが、「リモートタワー」システムだ。このシステムは空港に設置したカメラやセンサから取得した映像や様々なデータを、ネットワークを介して遠隔地の運用センターに集約し、そのセンターから遠隔で業務を行うことができるようにするというもの。

 欧州では一部実用化した空港がみられるようになってきているが、日本国内では電子航法研究所がその研究開発を加速している。  電子航法研究所によれば、リモートシステムに関する国内ニーズはかなり以前よりあって、交通量の少ない小規模空港におけるRAG(Remote Air-Ground Communication:遠隔空港耐空通信施設)としてサービスが提供されてきた。ただ、このシステムは小型で機能が制限されている。その一方、航空局としては今後状況に応じて効率化などの観点から管制業務をリモート化することを計画するなど、「リモートタワー」に対する期待は高まりつつある。  

 ちなみに世界的にみると、欧州を中心に「リモートタワー」の積極的な導入が検討され、その動きが先行。実運用をスタートした空港もあるほか、「リモートタワー」システムを活用した航空ナビゲーションプロバイダー(ANSP)のビジネス展開が計画されるなど、様々な機関が導入を進めていく様相にある。EUROCAEや国際民間航空機関(ICAO)による技術標準化の議論も進められており、日本としてもこの分野で技術を獲得することで、国際標準化の議論に加わることができる。

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