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2020.05.27

WING

航空業界の債務、今年末までに59兆円超の規模に

巨額の債務負担が業界再建の重し

 国際航空運送協会(IATA)は5月26日(ジュネーブ現地時間)、航空業界の世界的な債務が今年末までに5500億ドル(約59兆1200億円)にまで膨れ上がる可能性があるとの分析を結果を明らかにした。2020年初頭の債務水準と比較して、およそ1200億ドル(約12兆9000億円)拡大することになる。
 このうち670億ドルは政府融資が500億ドル、繰延税金50億ドル、ローン保証120億ドルで構成する見通しにあると分析。残りの520億ドルは、商業ローン230億ドル、資本市場負債180億ドル、新規のオペレーティング・リースによる負債50億ドル、既存のクレジット・ファシリティへのアクセス60億ドルなどを含む。
 IATAは「金融支援は、事業を畳むことなく新型コロナウイルス危機の最悪期を乗り切るための生命線」であることを強調。しかしながら一方で、「ポスト・コロナにおける再出発期には、業界の債務負担は5500億ドル近くに達し、28%もの膨れ上がる」ことに言及した。
 IATAのアレクサンドル・ドゥ・ジュニアックCEOは、「政府の支援は航空業界を浮揚することに貢献している」と前置きした上で、「次の課題は、支援が生み出している負債の重荷の下で、航空会社が沈没しないようにすることだ」と話した。
 IATAの調べによれば、・・・・・・。

 政府財政支援に大きな地域差
 米国は19年収益の25%も中東やアフリカは約1%

 IATAによると、政府の財政支援総額1230億ドルは、2019年の航空会社の総収入の14%に相当するものだが、その支援の地域差にはギャップがあるという。例えば米国政府はCARES法を中心に、北米の航空会社への財政支援を主導してきており、2019年の年間収入の25%を占める規模となった。欧州でも2019年の年間収入の15%、アジア太平洋地域でも10%となっているが、一方でアフリカ、中東、ラテンアメリカでは、平均的な援助は2019年の収益の1%程度に留まっているという。
 「多くの政府は、・・・・。

※写真=各国政府による財政支援で急場を乗り切ろうとしている航空会社。しかし59兆円にも膨れ上がる見通しの債務負担が重くのしかかり、今度はポスト・コロナでの業界再建が鈍くなることが予想される