記事検索はこちらで→
2019.04.22

WING

世界初の液化水素用船陸間移送ローディングアームを開発

 東京貿易エンジニアリング(TEN)、川崎重工、宇宙航空研究開発機構(JAXA)および一日本船舶技術研究協会(JSTRA)は、内閣府が推進するSIP(戦略的イノベーション創造プログラム)において、「液化水素用ローディングシステム開発とルール整備」として世界初の液化水素用船陸間移送ローディングアームを開発したと4月18日に発表した。
 このローディングアームの開発は、LNG用ローディングアームの開発・製造で豊富な実績を有するTENと液化水素関連設備の製造で長年のノウハウを有する川崎重工が担当し、それらを様々な舶用関連技術を研究しているJSTRAが全体統括を担当した。

 

JAXAが緊急離脱機構の試験を実施

 

 また、同ローディングアームの特長であるスイベルジョイントと緊急離脱機構は、ロケット燃料として液化水素の扱いに関する知見を有するJAXAの能代ロケット実験場(秋田県)において、液化水素を用いた性能確認試験を実施した。緊急離脱機構の切離し動作およびスイベルジョイントの長期稼働を見据えた40万回の反復回転動作の確認を行うことで、高い安全性と耐久性を確認している。
 日本は、低コストでの水素利用を実現するために、海外の未利用エネルギーとCCSとの組み合わせおよび再生可能エネルギーから水素を大量調達できる国際的なサプライチェーンの構築において必要となる液化水素運搬船や液化水素荷揚基地の建設を進めている。
 液化水素運搬船による海上輸送はこれまでに世界中で実績がないため、船と基地を繋ぐ重要な設備として液化水素用ローディングアームを新たに開発した。液化水素の温度は空気の液化温度より低いため、既存技術のLNG用ローディングアームでは、移送時に配管表面に液体酸素が生成され、火災を誘発する可能性がある。この課題の解決策として、液体酸素を生成させない高い断熱性と安全に運用するための機構を備えた。

 

※写真=開発した液体水素ローディングアーム(提供:東京貿易エンジニアリング)