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2019.04.08

WING

737ファミリー、MAX事故で4月中旬から10機減の月42機に

雇用維持や財務影響低減、サプライヤーと生産計画で協力も
 
 ボーイングのデニス・ミュレンバーグCEOは4月5日(米ワシントン州現地時間)、737ファミリーの生産レートについて、「現在月産52機を生産しているが、4月中旬から一時的に月42機にする」と、減産する方針を固めたことを明かした。同ファミリーの737MAXでは、ライオンエア、エチオピア航空における墜落事故に伴ってソフトウェアの改修が進められており、ミュレンバーグCEOは「737MAXの生産について、納入の一時停止に対応するように調整する。アップデートするMCASのソフトウェア認定を進めることで、MAXをフライトに戻すことに重点を置く」と、一時的に同型機の減産に踏み切ることを決めたことを説明した。ボーイングの737プログラムにおける日本企業の参画比率は小さなワークシェアとはいえ、なかには大型投資に踏み切った企業もあることから、減産の余波は避けられそうにない。
 ボーイングが誇る単通路機737ファミリーは旺盛なエアラインからの需要に応えるべく、近年は増産計画が相次いだ。昨年にはついに月産52機を達成しており、毎日1.7機ほどの機体がワシントン州レントン工場で続々と組みあがっている。現在、レントン工場では次世代737型機と737MAXを生産中だが、その大半は737MAXとなっている。一方でエアライン側は立て続けに事故を起こした737MAXの機体需要を拒否しており、ボーイングも737MAXのMCASソフトウェアのアップデート改修などに伴って、737MAXを顧客に納入することができない状態にある。
 減産へと舵を切る737ファミリーの生産ラインだが、ミュレンバーグCEOは「737プログラムと関連する生産チームに関して、現在の雇用レベルを維持する」と雇用の維持することに言及。さらに、「生産システムとサプライチェーンのより幅広い健全性確保と高品質化に向けた投資を継続することも明かした。
 その上で、「この生産調整による影響を軽減するべく、ボーイングは顧客と緊密に調整する」とコメント。さらに「デリバリーの中断や減産による財務上の影響を最小限に抑えるために、サプライヤーとの生産計画について協力していく」と話した。
 ちなみに737MAXプログラムでは、ナブテスコがフライトコントロールシステム制御用機器を、島津製作所がAPUドア作動用機器およびスポイラ作動用機器、SUBARUは昇降舵、多摩川精機が飛行制御装置用センサユニット、三菱重工が内側フラップ、横浜ゴムが飲料水タンク、そしてジャムコがギャレーを生産しているなど、複数の日本企業がプログラムに携わっているところ。

 

取締役会に安全性保証組織を設置
MAXのみならず他のプログラムも対象に

 

※写真=737ファミリーが生産レートが2割減少した月産42機へと引き下げへ(提供:ボーイング)