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2018.10.01

ツーリズムEXPOの主役は「出展者」

今年のツーリズムEXPOジャパンが終わった。主催者発表では、出展者数、来場者数、商談件数ともに過去最高となった。とくxに今年はB2Bを強化し、2日間に延長したこともあり、業界日来場者数は6万6000人、商談件数は7450件に達したと発表された。
 商談会で最も重要なことは、成約件数と成約金額で、これは日本政府観光局(JNTO)主催のVJTMでも同じことが言えるが、来場者数や商談件数はあくまで過程で、結果として成約件数・金額が公開できるようになった時に初めて商談会は評価される。
 観光庁がインバウンドの成長とともにアウトバウンドを双方向交流のバランス化から強化し、若者のアウトバウンド促進に予算要求しているという追い風の中で、業界全体でこれに応え、海外の観光当局、関係者に日本アウトバウンドの力をアピールしなくてはならない。
 ツーリズムEXPOは過去を遡れば、日本アウトバウンドの最大のショーケースだった。現在は、海外・訪日・国内の三位一体の旅行イベントとなったものの、ツーリズムEXPOの開催は、アウトバウンド復活への絶好の機会となる。
 とくに、日本アウトバウンドは昨年、今年と回復傾向にあり、低迷から脱しつつある。しかし、国内の海外観光局事務所は撤退し、プロモーション費用も縮小している。ツーリズムEXPOでも訪日・国内旅行のブースが拡大する一方で、海外旅行のブースが縮小傾向にあることは否めない。
 ツーリズムEXPOの主役は「出展者」である。海外出展者の最大の目的は、旅行会社との商談会によるツアーの拡大やネットワーキング、一般来場者とのコミュニケーション、マーケティングなどによる旅行誘致などで、対面による出展効果は大きいと考える。
 しかし、今年のツーリズムEXPOではオーストラリア、ニュージーランド、シンガポールの各観光局が出展を見合わせた。この「真因」がどこにあるのか、主催者は追求すべきだ。今のツーリズムEXPOに出展する意味がないとするなら、その要因を追求し、改善しないと、来年の大阪開催はさらに厳しい状況が予想される。
 大阪開催については、出展者サイドに困惑が広がっている。最大の懸念は、B2Bでは東京開催のようにセラーとバイヤーによる商談会ができるのかということだ。旅行会社の企画・仕入担当者の多くは東京に集中している。大阪で開催する時に東京と同じような商談が可能なのかどうか。この問題について主催者は出展予定者に対して丁寧な説明が必要ではないか。
 また、大阪開催のB2Cでは有料のイベントとして、目標の東京開催の7掛けの入場者が来場するのかどうか。この目標に対する進捗状況の把握とPDCAサイクルの徹底が求められる。
 私見を言えば、入場者数に大きな意味はない。展示会の「主役」である出展者の規模が縮小したり、減少することが最大の問題だ。主役が減れば、入場者は減る。海外出展者がなぜ出展を取りやめたのか、海外出展者が再び出展するには何が必要なのかを追求してほしい。
 ツーリズムEXPO開幕の記者会見とともに、業界日の2日目には来年の大阪、再来年の沖縄開催の記者会見をするべきだったと思う。とくに、大阪は1年後なのに具体的な内容が見えてこない。6月7日から出展者の誘致が始まったが、進捗状況はどうなのか。「オール大阪」で取り組むツーリズムEXPO大阪の組織体はどうなっているのか。ツーリズムEXPO会場でアピールしてほしかった。
 現状の仕組みが維持されるとして、2021年の東京開催時には、海外旅行者数が2000万人を超えていても、訪日旅行者数との差は広がっているだろう。その時に、海外からの出展者を維持するためにも、大阪開催の成果が注目される。(石原)