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2019.06.07

WING

NEC、5G向けミリ波フェーズドアレイ無線機を開発

安価な集積回路を用いて高精度指向性制御を実現

 日本電気(NEC)はこのほど、東京工業大学の岡田健一教授と共同で、第5世代移動通信システム(5G)に向けたミリ波帯フェーズドアレイ無線機を開発したことを明らかにした。5Gでは従来のマイクロ波帯の周波数にあわせて、ミリ波帯の周波数の利用が計画されている。ミリ波帯用の5G無線機ではアレイ状に配置したアンテナへ入出力する高周波信号の位相を制御することにより、アンテナの指向性パターンを制御する。従来は高精度な指向性の制御のために大規模な装置が必要であったが、指向性パターンを劣化させる要因になっている位相および振幅のばらつきを補償できるコンパクトな回路を新たに提案し、無線機とともに集積化することに成功した。
 この回路の活用により位相0.08度と極めて高精度にアンテナ素子の信号を制御することができる。無線機は安価なシリコンCMOS (相補型金属酸化膜半導体)プロセスで製作した。この技術は、5G向けの各種無線通信機器に搭載可能で、ミリ波帯の5G普及を加速させる成果という。

 

※写真=試作した5Gミリ波帯フェーズドアレイ無線機(提供:NEC/東京工業大)