WING
MW級電動ハイブリッド推進で日本に商機
JAXAが取り組むMEGAWATTプロジェクト
次世代旅客機は今まで以上に環境適合性を高めた機体でなくてはならない。2050年炭素排出量ゼロを掲げる航空機業界では、SAF(持続可能な航空燃料)など代替燃料の普及・利活用促進を図りながら、2030年代半ばに登場すると目されている次世代旅客機に対する期待は大きい。日本も欧米機体OEMが主導する次期国際共同開発プロジェクトにおいて、確かなワークシェアを獲得するべく、この潮流に乗り遅れることがないよう様々な研究開発を進めている。宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2025年度から航空機用MW級電動ハイブリッド推進システムの技術実証(MEGAWATT)プロジェクトをスタートし、その研究を深化させているところだ。
このプロジェクトを担うJAXA航空技術部門の西沢啓氏は「2030年代半ば頃に誕生すると予想されている次期単通路機に適用可能なMEA向けの大電力供給技術を確立することを目指す」との考えを明かし、欧米機体OEMが開発を今後本格化させていくであろう次期単通路機を視野に、技術を実証・確立させていきたいとした。
西沢氏は「航空機の電動化技術は新しい領域。業界地図が未だ確定しておらず、日本国内企業にとって新規参入の大きなチャンスがある」とコメント。JAXAとしては「MEGAWATT」プロジェクトを通じて産業界と協力してシステム統合と大規模技術実証を進めつつ、官側との連携も図り国際標準化活動にも貢献し、国内企業の事業化促進活動を促進していきたい考え。
※この記事の概要
・尾部に電動ファン、主エンジンで発電機駆動
四重の冗長系、故障箇所は切り離す設計思想
・発電機は永久磁石同期式に
社会実装時に1MW級の発電量
・電動機、放熱と空力要求満たす など
