記事検索はこちらで→
2025.10.31

ウイングトラベル

★ANAHD、わずか2年でAirJapanブランド休止決定

 航空運送事業の見直し、ANA集約で成長戦略へ

 ANAホールディングス(ANAHD)の芝田浩二社長は10月30日の決算会見で、AirJapanブランドの運航休止を決定した。世界的な環境変化や、ANAグループ内でのリソース配分を見直した結果だとして、マルチブランド戦略の再構築によって、ANAとピーチによるデュアルブランド戦略へ集約する。わずか2年余りでのブランド休止に「あまりにも短い」と悔しさをにじませた。これまで需要を順調に取り込んできたが「イールドが届かなかった」と説明。機材数もなかなか伸ばせず、現有の3機でブランドを継続するよりもANAブランドへリソースを集めることで「効率化が図れると判断した」と語った。
 2024年に就航した成田-バンコク、ソウル、シンガポール線などを運航してきたAirJapanは、26年3月29日のバンコク発NQ002便およびシンガポール発NQ004便を最後に休止する。ブランドのベースとなった運航会社のエアージャパンは、ANAブランドの国際線の運航を続けるとして、機材および人材をANAブランドへ集めることになる。
 芝田社長は、AirJapanブランドによる運航を開始した当初から、インバウンド需要を取り込むため、着実に事業を拡大してきたものの、予想していた単価やイールド(運賃)が目標に達しなかったことを理由に挙げた。競争力のある市場環境の中で供給量の増加が影響を及ぼし、3機体制での運航維持が難しくなった。そのため、リソースをANAブランドに集中させる決断を下した。また、AirJapanでは、787型機の機材遅延やエンジン部品供給の遅れ、ロシア上空の回避に伴う機材不足という課題にも直面し、それらがさらに経営資源に圧力をかけた格好になった。そのため、ANAブランドで国際線事業の規模拡大を目指す方針へ舵を切った。

 

※写真=AirJapanブランド休止を説明する芝田社長