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2018.12.12

WING

ボーイング、「顧客に最大価値提供可能な技術求む」

ボーイングのサプライヤーであり続けるためには?

 

 日本の航空機産業にとって、最大のパートナーは言わずもがなボーイングだ。日本航空機産業の歴史を紐解けば、ボーイングと共に歩みを進めてきたといえよう。787ドリームライナーや777Xなどといった新鋭機に代表されるように、ボーイングの旅客機開発・製造で、日本の航空機産業はしっかりと存在感を示すことに成功している。日本の航空機産業が引き続きボーイングと蜜月関係を続けていくために、ボーイングは日本の航空機産業に対して何を求めているのか----。ボーイング・ジャパンを率いるブレット・ゲリー社長は「我々が求めていることは、我々の顧客に対して最大の価値をもたらすことができるか否か」であることを強調する。
 777型機では21%のワークシェアを獲得した日本の航空機産業だが、それまでの納期のオンタイムパフォーマンス・高品質、さらには787型機では東レが有する炭素繊維技術を武器に、35%もの高いワークシェアを獲得することに成功した。
 同プログラムでは三菱重工が主翼ボックスを、川崎重工が前部胴体、中胴下部構造、主翼固定後縁、そしてSUBARUが中央翼および中央翼と主脚格納部のインテグレーション、新明和工業が主脚扉のアクチュエータを担当するなど、様々な日本企業が787プログラムに参画している。
 ボーイングが開発中の777ファミリー最新派生機である777Xにおいても、日本企業は21%のワークシェアを獲得。777Xでボーイングは、自動化、デジタル化といった新たな生産手法の導入を加速した。こうした動きを日本企業も追随し、大手重工を中心に各社の工場は自動化、デジタル化などを採り入れ、ボーイングと共に次世代の航空機づくりを担う新たなモノづくり手法に挑んでいる。
 ゲリー社長は「歴史的にみても、ボーイングはイノベーションの最先端にある。そのボーイング史上においても、現在はあらゆる分野におけるイノベーションにかなり大規模な投資を進めている」との見方を示し、将来テクノロジーを見据えて、必要な投資を推し進めていることに言及。「社内でも第4次産業革命に対して積極的な投資を進めており、主にデータを活用してプロダクションシステムの効率性を高めることができるようにしている」ことを明らかにした。
 「データ・アナリティクスを用いることによって、工場内の生産フローを効率化することができる。さらに、製造をシミュレートすることも可能だ」とコメント。工場内の在庫を削減することも可能することや、機械設備の故障診断予測など、様々なメリットが生まれるとの認識を示した。
 一方でゲリー社長は「新しい技術を採り入れることも大切なことではあるが、従来から継続してきた改善活動を継続すること、さらには生産性の向上も引き続き継続することが重要」であることも強調。
 「ボーイングは、日本企業が数多くのことを学んできた。そうしたものの一つが、リーン・プロダクションシステムや改善活動など」とし、新たな技術を導入するだけではなく、既存の改善活動の重要性を訴えた。

※写真=ボーイング・ジャパンのブレット・ゲリー社長

Rendering 777-9X; 777-8X; Both Planes together; View from lower Starboard – right side; Air to Air; Over Clouds Blue Boeing Livery; K66735

※写真=日本の航空機産業がワークシェア21%を確保した777X(提供:ボーイング)