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2019.09.20

ウイングトラベル

日本から訪韓クルーズ旅客数、倍以上に拡大を

KTO、寄港地の魅力紹介するセミナー初開催

 韓国観光公社(KTO)は、日本でのクルーズ人気の高まりを受けて、釜山、麗水、済州をはじめとする韓国の寄港地の魅力を紹介する「2019韓国クルーズ観光セミナー」を、9月18日に初開催した。寄港地としての韓国の魅力を紹介するセミナーを日本で開催したのは、今回が初めて。日本のクルーズ人口は、2018年には前年比1.8%増の32万1000人まで増加。それに伴い、新たな寄港地や寄港地ツアーの開拓が課題となっており、韓国では済州(チェジュ)、仁川(インチョン)、釜山(プサン)、麗水(ヨス)、江原道(束草(ソクチョ))を5大クルーズ寄港地として、より積極的な誘致活動を展開していく。今回のセミナーを皮切りに、来春には寄港地を下見するファムツアーも実施し、日本からのクルーズ誘致をさらに強化していく方針だ。
 冒頭あいさつした韓国観光公社(KTO)の鄭辰洙(ジョン ジンス)東京支社長は、「今日初めて韓国のクルーズに関する総合的なセミナーを開催したが、それが全てではない。百聞は一見にしかず。韓国の寄港地の魅力をより一層知ってもらうため、来年春頃にはKTO本社と組んでファムツアーを実施し、釜山、済州、麗水、仁川、束草などの旅客船ターミナルを含めた寄港地の魅力や、豊富な食の魅力などを知ってもらいたい」と述べ、実際に日本のクルーズ関係者に寄港地を視察してもらう機会を設けたい考えを示した。
 鄭支社長は、「2018年に海外から韓国を訪れたクルーズ客数は合計22万人、そのうち6万人を日本人旅客が占める。2019年1〜7月の統計では全体で17万人、うち4万2000人が日本人で、シェアは1位」として、韓国のクルーズ市場における日本の重要性を強調した。

 

※写真=韓国観光公社(KTO)の鄭辰洙東京支社長

 

 韓国クルーズ市場約22万人、16年の10分の1
 THAADで中国ゼロに、日本市場がシェア1位
 済州、仁川、釜山、麗水、束草が5大寄港地
 船会社や旅行会社との共同マーケティング強化

 KTO本社から来日した朱相ヨン(チュ サンヨン/ヨンは金偏に庸)テーマ観光チーム部長は、『韓国クルーズ観光 広報マーケティング戦略』をテーマに、韓国クルーズマーケットの現状や、韓国の5大寄港地の魅力、KTOによる今後のクルーズ活性化計画について説明した。
 韓国の訪韓クルーズ客数については、2015年に初めて年間100万人を突破し、2016年には過去最高の225万8334人(前年比2.16倍)とピークに達したが、韓中間のTHAADの問題で中国からのクルーズ客船の寄港がストップし、2015年のクルーズ客数数は50万5283人、2018年には21万7944人と、ピーク時の約10分の1まで落ち込んでいる。

 

※写真=KTOの朱相ヨン テーマ観光チーム部長

 

■釜山、四季折々のテーマクルーズ商品を開発
 2つのクルーズターミナル、影島は拡張工事中

 当日は、寄港地観光の魅力について、釜山、麗水のある全羅南道、済州がプレゼンテーションを行った。
 釜山観光公社の張志慧(ジャン ジ)観光コンテンツチーム課長は、「韓国の5大寄港地のなかで最も重要なのが釜山」として、韓国最大のクルーズ寄港地として、クルーズ客船の寄港はもとより、日本やロシアからのフライ&クルーズやレール&クルーズも可能な点を強調した。

 

※写真=釜山観光公社の張志慧観光コンテンツチーム課長

 

■麗水、近隣観光地に15分以内で行ける強み
 徒歩5分に海洋EXPO会場、MICEにも最適

 全羅南道文化観光財団の金容云(キム ヨンウン)観光マーケティングチーム部長は、代表的な海洋観光都市である麗水(ヨス)をはじめ、順天(スンチョン)、光陽(クァンヤン)など、麗水近郊の全羅南道の魅力について紹介した。
 麗水の港湾施設は、ふ頭の長さが400m、水深11m、最大15万トン級の船が24時間接岸可能として、今年実際にマジェスティック・プリンセスが麗水に寄港した際、約4000名が下船するのにかかった時間は1時間40分だったとして、「観光のための時間を増やせるようにベストを尽くしている」と説明した。

 

※写真=全羅南道文化観光財団の金容云観光マーケティングチーム部長

 

■済州、「済州港」と「西帰浦港」の2港で受入
 西帰浦港は22万トン級が2隻同時に接岸可能

 済州観光公社の渡守武祐子東京広報事務所所長は、済州島にある2つ港である「済州(チェジュ)港」、「西帰浦(ソギポ)港」を中心に紹介した。とくに西帰浦港は、2018年5月29日に新たな国際旅客船ターミナルがオープンしたばかりで、「22万トン級のクルーズ客船が2隻同時につける」とその規模の大きさを説明。大規模なターミナル内には、ムービングウォークが付いており、「3000人規模なら1時間以内で審査が終わると聞いている」としたほか、今年3月にクイーン・メリー2が初寄港した際の歓迎イベントの様子などを動画を交えて紹介した。

 

※写真=済州観光公社の渡守武祐子東京広報事務所所長

 

 釜山や済州で港湾施設やターミナル整備進む
 木島クルーズバケーション社長、日韓クルーズ発展祈念

 ネットワーキング懇親会の乾杯の発声は、クルーズ・バケーションの木島榮子社長が行った。木島社長は、釜山や済州の新たな港湾施設や国際旅客船ターミナルを今年実際に訪れたとした上で、「日本ではなかなか海に橋を出してターミナルを作るところはない。その点、韓国は素晴らしい」と讃えた。その上で、「日本から韓国を訪れるクルーズ旅客がますます増えることを祈っている。今後も日本人、外国人ともに歓迎してもらいたい」として、韓国と日本のクルーズ市場発展を祈念して乾杯した。

 

※写真=クルーズ・バケーションの木島榮子社長

 

※写真=韓国クルーズ観光セミナーの様子