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2019.08.08

WING

羽田新飛行経路に自治体承認、20年夏ダイヤ開始

騒音・落下物に追加対策、地域へ丁寧な情報提供

 国土交通省航空局は8月7日、羽田・成田の機能強化について関係自治体や航空会社など関係者間で協議する「第5回首都圏空港機能強化の具体化に向けた協議会」を開き、新飛行経路による羽田空港増便を2020年夏ダイヤ、3月29日から開始することで自治体と合意した。新飛行経路直下の地域では、不安や反発などが根強く残るが、新たに国側から騒音および落下物対策について追加対策を示されたほか、情報共有や意見交換の場を約束したことで、地元自治体が受け入れるかたちとなった。
 この度の具体化に向けた協議会は、航空局から改めて羽田の機能強化に関するこれまでの取組みや追加対策を説明。さらに各自治体から挙がった疑問や意見に回答した上で、関係者に対して2020年3月29日から羽田で新飛行経路の運用を開始したい考えを説明した。
 これを受けて関係自治体は、これまで国が行ってきた5順におよぶ住民説明会など、丁寧に情報を提供してきた姿勢を評価。それとともに、騒音・落下物対策および新たな追加対策も好意的に評価した。さらに国に対して、引き続き騒音や落下物対策などを講じていくよう求めた。
 また各自治体は羽田の機能強化を実現するに当たって、国に対してスケジュールどおり着実に手続を進めるよう求めた。さらに機能強化の必要性に理解を示した上で、国の事業として、国の責任のもとで進め、騒音対策を万全にするよう求めた。
 一方で千葉県・千葉市からは、新飛行経路案が首都圏全体での騒音共有実現への第1歩になるとして、歓迎する意見が示された。既存の飛行経路では、羽田の騒音や落下物のリスクを千葉県が受けてきたという。県・市では、従来から首都圏で騒音の共有を求めてきたとして、これが新飛行経路によって実現へ近付くとして評価した。
 こうした自治体の意見を踏まえ、航空局の和田浩一局長はこれまでの住民説明会などを通じて「住民には引き続き不安・心配の声があるとうかがった」と述べると、続けて「そのため、関係自治体からの騒音・落下物対策、情報提供の継続に関する意見・要望をしっかりと受け止め、引き続き丁寧に説明していきたい」と話した。今後の機能強化の進め方については、挙がった意見を踏まえ、改めて航空局内で検討を行った上で「2020年夏ダイヤからの羽田空港新飛行経路運用開始、国際線増便について、国土交通省の責任において判断する」と説明した。

 

騒音・落下物の追加対策、丁寧な情報提供継続
低騒音機材の促進へ着陸料体系などさらに見直し

 

改良固定部品への交換で落下物対策
秋以降も住民説明会を継続、意見交換など充実

 

日本の国際競争力に危機感も
さらに先の成長戦略の考慮必要

 

ANA平子社長、万全な体制で運航
JAL赤坂社長、自治体との連携強化を促進

 

NAA田村社長、成田さらなる機能強化不可欠
1日も早い事業着手を目指す

 

※写真=協議会の様子

※図1=南風好天時の新経路で降下角を3.5度へ引き上げ(提供:航空局)

※図2=落下物防止へ改良型固定部品へ交換(提供:航空局)