記事検索はこちらで→
2019.06.26

WING

NAA田村新社長、厳しい経営環境下で実績出す

羽田が選ばれる現状、常に市場価値を見比べる

 成田国際空港会社(NAA)は6月25日に株主総会を開き、総会後には田村明比古新社長による新体制がスタートした。その日行われた就任会見で、田村社長は「日本を代表する空港の経営に、身の引き締まる思い」と、社長就任の心境を語った。成田空港では、羽田空港を始めとした国内、アジア主要の各空港との競争を繰り広げつつも、短期から長期に亘る問題が山積している状況だと説明。「厳しい経営環境の中で、実績を出さなくてはいけない」と述べて、成田空港の発展に力を入れる心構えを示した。
 田村社長が言う、成田で山積する問題の一つが成田の収入体系や設備投資など。周知の通り、機材の小型化や低燃費化が進む中で、航空系収入は減少傾向にある。さらに成田では航空系収入の多くを占める着陸料など、インセンティブ割引などで路線維持の施策を講じてきたが、現実問題として2020年の羽田3.9万回増枠を機に、従来成田へ就航していた米国路線の一部は、羽田へシフトすることになる。そのため「2つの空港を並べたときに、同じ価格では羽田が選ばれる。今の価格、サービスで良いのか。常に市場価値を見比べなければいけない」と述べて、さらなる割引も含めて、空港使用料検討の必要性に言及した。
 さらに成田空港は、さらなる機能強化のため、今後滑走路の増設・延伸など、大規模な設備投資を伴うことは必至だ。また機能面に関する投資ばかりではなく、空港価値を向上させるための施設やサービスとして「エンターテインメントなども含め旅客を快適にする施設整備検討も必要」で、ほかに商業施設の品揃え充実のための整備、省力化の推進など「出す方はかなりの資金ニーズで、経営環境は厳しい」との見解。しかし様々な投資を行う必要が想定される中でも、空港経営の意気込みとして「着実に成果を上げていく」と述べた。

 

短期・中期・長期で様々な課題が山積
設備投資伴う様々な取組み必要

 

羽田シフト対策「分厚い路線ネットワーク」築く
乗継需要の創出、中継点に中東の空港参考になる

 

ジェネアビ対応でヘリのアクセスを検討
LCC利用者へターミナル環境の改善を模索

 

夏目前社長、成田の進むべき道筋付けられた

 

※写真=株主総会後の会見に応じる夏目誠前社長と、田村明比古新社長

SONY DSC

※写真=会見後、がっちり握手し、成田の発展を誓った