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2018.04.18

ウイングトラベル

民泊仲介の「標準住宅宿泊仲介業約款」公布

観光庁、取引条件説明はデジタルファーストに

 観光庁は、6月15日から住宅宿泊事業法が施行されるのを前に、「標準住宅宿泊仲介業約款」を公布した。住宅宿泊仲介業者(仲介サイト)は、宿泊者と締結する住宅宿泊仲介業務に関する契約に関し、約款を定めて観光庁長官に届け出る必要があるが、標準約款を利用すれば届け出たものとみなされるため、多くの民泊仲介業者が標準約款を使用するものとみられる。その骨格は「標準旅行業約款」に準拠しているが、たとえば「取引条件説明」では、従来の書面交付から、情報通信技術を利用した方法での提供を基本とし、初めてデジタルファーストにするなど、IT活用を前提としたシェアリングエコノミーならではの契約形態を反映させたことが特徴と言える。
 民泊ビジネスは海外で先行しており、海外の民泊仲介事業者も日本市場に参入することから、「標準住宅宿泊仲介業約款」の英訳も参考として公開された。
 なお、旅行業者が民泊仲介業を行う場合、仲介業者として登録する必要はなく、約款についても民泊専用の約款を定めずに標準旅行業約款で契約することができる。
 「標準住宅宿泊仲介業約款」の内容をみると、前提となる「住宅宿泊仲介契約」については、「当社が宿泊者の委託により、宿泊者のため、宿泊者が住宅宿泊事業者の提供する届出住宅における宿泊のサービスの提供を受けることについて、代理、媒介又は取次ぎをすることを引き受ける契約」と定義した。
 また、「仲介代行者」についても定め、契約の履行に当たり、「仲介の全部又は一部を本邦内又は本邦外の他の住宅宿泊仲介業者、仲介を業として行う者その他の補助者に代行させることがある」と定めた。
 代行者の中には、民泊仲介業の登録を有しない事業者が含まれる可能性があるが、これはたとえば複数の宿泊予約サービスを一元管理するサイトコントローラーなどが介在するケースなどを想定している。ただ、民泊仲介業の無登録業者に、事業を丸投げすることは当然法律違反となる。

 

 「通信契約」は受託通知の到達時に契約成立
 通信契約以外は申込金の受理時点で契約成立

 

 取引条件説明事項、情報通信技術を利用し提供
 宿泊者が取引条件を閲覧・確認したかを確認

 

 契約変更時は取消料や変更手続料金等が必要
 標準約款に取消料金等の規定なし、個別確認必要

 

 損害賠償請求は発生翌日から2年以内に通知必要
 手荷物損害は21日以内に通知、15万円限度に賠償