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2019.02.06

WING

フジ・インバック、新興国から引き合い多数!

東南アジアやアフリカなど新興国が注目

 フジ・インバックの田辺誠治社長は本紙の取材に対して、「東南アジア諸国やアフリカなどの新興国地域を中心に、機体の引き合いが強い」と、とりわけ新興国に大きなビジネスチャンスがあるとの認識を示した。こうした新興国地域におけるニーズについて田辺社長は「国境監視や海洋監視、パイプライン検査など、多様なニーズがある」と、その需要を分析。田辺社長を筆頭に、フジ・インバックのスタッフが諸外国を巡り、実証実験を行うなど、数多くの商談を重ね、受注獲得も近いとの認識を示した。
 こうした東南アジアやアフリカなどの新興国では一度に大量の無人機を求められるケースが散見されることから、そうした大量ニーズに応えるために、「日本国内で生産していては、とても需要に追い付かない」との認識を示しつつ、「新たな試みとして海外に技術移転をして、日本国内ではエンジンなどの主要部品だけを生産することを試みている」ことを明らかにした。この生産方式ならば、発注先の現地企業でも一定のワークシェアを分担することができることから、いわば”オフセット”のようなかたちで受注を獲得することも期待できそうだ。
 一方で日本国内でも、茨城県竜ケ崎飛行場の実証実験に続き、福島県でも実証実験を進めるなど、自治体や政府機関との飛行実証などを通じて、様々なニーズ探っているところ。日本国内では災害時の物流や送電線や線路などのインフラ点検、測量などのニーズに加え、防衛省関連の需要も期待できる。
 田辺社長はフジ・インバックとしてはプロダクト開発において、「とくに安全性にこだわっている」ことを強調。パラシュートを搭載した固定翼無人機の開発を進めると共に、飛行中も常時、パラシュートを開いた状態の機体を開発した経緯を説明した。
 その上で、「オペレーターが無人機を運用中に墜落させてしまうことがあるが、これはメーカーの責任でもある」との認識を示し、メーカーの一翼として「教育に力を入れていることに加えて、機体を全自動化することに取り組んでいる」として、全自動化などの開発に力を入れることで、フジ・インバックのプロダクトの強みとしていく考えを明かした。田辺社長は「無人機の更なる普及のためにも、完全自動が普及のカギだ」として取り組み、昨年にはテストパイロットの着陸の技量を超えることに成功し、完全自動離着陸システムは完成した。

 

 
4ストロークエンジンのW-T3型開発中
燃費や航続距離など各種性能向上へ

 

 
※写真=フジ・インバックの田辺誠治社長(提供:フジ・インバック)

※写真=パラシュートを開いたまま飛行する。「安全にこだわるフジ・インバックならではの機体だ(提供:フジ・インバック)

※写真=開発中のW-T3型(提供:フジ・インバック)