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2019.01.29

ウイングトラベル

関西インバウンド消費、高い経済波及効果

人口減の消費減を上回る訪日外国人消費増

 日本銀行大阪支店営業調査グループがまとめた「関西におけるインバウンド消費の経済効果の拡がりと先行きの展望」によると、「関西全体の人口は減少しているものの、インバウンド消費の増加額は、人口減に伴う消費支出の減少額を上回って推移。今後、本格的な人口減少を迎える中で、インバウンド消費の増加は、人口減に伴う需要減を補完し、関西経済を牽引する」として、関西におけるインバウンドへの重要性がさらに高まることを予測した。
 同グループでは、関西への訪日外国人の増加により、「ホテルの新規着工が増え、小売業も設備投資が活発化、インバウンド関連の旅行業、卸売、不動産仲介業などの外資系企業の誘致に繋がり、旅行者が帰国後に越境EC通販の利用が拡大し、化粧品等の輸出が増加している」とし、訪日インバウンドが大阪経済に着実な波及効果を示していることを強調した。
 先行きについては、海外の経済情勢、為替動向、地政学リスク、自然災害等による一時的な振れを伴いつつも、関西経済の押し上げに寄与することが期待されるとした。
 とくに、経済成長が続くアジア諸国では、海外旅行ニーズが高まり、加えて、2025年の大阪・関西万博を含めて国際的なイベント開催が関西で続くことで、需要創出効果が期待され、大規模な再開発事業、交通インフラ投資が観光地としての魅力や利便性をさらに高めるとしている。
 それを持続的なものにするためには、1.外国語対応や無線LAN、キャッシュレス環境等の整備、2.「コト消費」の取り込み強化、3.関西広域連携による受け入れ体制の強化−の3点を課題として挙げるとともに、自然災害の影響でインバウンド消費を落とした教訓を活かして、不測の事態に備えた行動計画や有事の際の外国人向けの情報発信力を高めていくことを指摘した。

 

※図=関西の訪日旅行者と関空からの入国者数・百貨店免税売上(日本銀行大阪支店営業調査グループ「関西におけるインバウンド消費の経済効果の拡がりと先行きの展望」から出典)