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2018.12.20

WING

水谷社長、「19年は開発作業集大成の年に」

TC飛行試験「まもなく開始」向け準備整える

 

 三菱航空機の水谷久和社長が12月19日に記者会見に臨み、2019年について「(初回納入を)2020年半ばと約束しているため、2019年がどのような年かというと自ずとと明確だ。開発作業の集大成のTCフライトに入っていく」と話した。ローンチマスタマーである全日空(ANA)と交わした2020年半ばに納入開始という約束の日は、着々と迫ってきている。この約束を果たすために、2019年はまさに正念場の年となりそうだ。
 正念場となる新たな年を迎えるなか、派生型のMRJ70がすでにコンセプトスタディをスタートした。このMRJ70には新たな技術を盛り込む方針で、単なる短胴型の枠には収まらない機体となる様相だが、水谷社長は「どのタイミングで、どのような内容でお話させていただけるのか、それも含めてスタディ中だ。従来のMRJ90の延長線と並行して、MRJファミリーからすれば重要なイベントになるだろう」との認識を示した。その上で、「MRJ90の出来具合、MRJ70のコンセプトスタディの成果の具合を勘案しながら、来年のパリエアショーも念頭において、MHIグループとしてのMRJ事業に対する大きな方向性を出す年になるだろう」と話し、パリエアショーのタイミングを目途に、MRJ事業として新たな方向性を打ち出す可能性を示唆。「次のステップにおいて、重要な年になるだろう」と話した。
 一方、開発作業を急ぐMRJ90では、社内飛行試験やフェリーフライトなどを合算した累計飛行時間は2400時間を超えるまでに達した。ただ、これはあくまで社内飛行試験などであるため、航空当局による型式証明試験は未だゼロだ。
 水谷社長は「もうまもなく開始することができる」ことを強調しつつ、「ゴーサインが出れば、いつでも実施することができるように、準備を整えている」とし、日本の航空局、ひいては米連邦航空局(FAA)からTC飛行試験実施の承認許可が降りる日を、首を長くして待っている様相だ。

 

※写真=MRJ90はTC飛行試験実施の承認許可が降りる日を首を長くして待っている(提供:三菱航空機)