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2018.12.13

WING

IATA、19年の航空業界純利益は355億ドルに

原油価格低下など追い風もBREXITや貿易戦争など懸念も

 国際航空運送協会(IATA)は12月12日(ジュネーブ現地時間)、2019年における世界の航空会社の純利益が、355億ドルに達するとの見通しを示した。これは2018年純利益見通しの323億ドルから、およそ10%拡大する計算だ。
 IATAによれば、今年はコスト上昇に伴い収益性が低下したものの、20190年には原油価格の下落に加えて、GDP成長率が3.1%と引き続き堅調な経済成長が見込まれるとして、航空業界は利益を拡大することができると予測した。
 IATAのアレクサンドル・ドゥ・ジュニアックCEOは、「2019年のコスト上昇は収益性を低下させるだろうと予想していたが、原油価格の急落とGDP成長の見通しにより、”バッファー”が提供された」とコメント。楽観的な見通しを示す一方で、「経済的および政治的環境が激変しているため、下振れリスクが存在する」として、英国によるEU離脱”BREXIT”の影響や米中間で繰り広げられた貿易戦争など、昨今の目まぐるしい経済・政治的な環境が、今後業界にどのような影響を及ぼすか不透明であるとの見方を示した。
 またIATAは来年の原油価格の見通しについて、1バレル当たり65ドル(ブレント原油先物)と予想。これは2018年の1バレル73ドル(ブレント原油先物)と比べて、低下する予想だ。
 そうしたなかでIATAはジェット燃料の価格低下を歓迎。とりわけディーゼル需要が増加している海洋部門が実施した低硫黄の環境対策の影響で、ジェット燃料価格が下落したと指摘されていることから、航空業界としてもこうした動きを歓迎するとしている。
 ただ、原油価格が低下するとの見通しにあるにも係わらず、2019年のジェット燃料価格は平均で1バレル81.3ドルと予想。これは2018年の平均である1バレル87.6ドルよりは低下するものの、依然として高水準にあるといえよう。
 IATAは、一部地域ではヘッジのレベルが高いため、ジェット燃料価格の低下の影響は遅れるだろうと分析。その上で、航空会社における燃料費は平均で運航費用の24.2%を占めると予想しており、2018年の23.5%から増加するとの見通しを示した。

 

※写真=世界の航空業界の2019年純利益は355億ドルと予想。18年は燃料費などコスト増に苦しんだが、燃料価格が低下する見通し。ただ、BREXITや貿易戦争などの懸念材料が散見