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2018.11.28

ウイングトラベル

ロシア双方向交流40万人実現へ、官民一体で推進

JATA、インドネシアの送客促進へ新たな活動

 日本旅行業協会(JATA)は11月27日に開催した定例記者会見で今年下期の国際交流活動に関する説明を行った。このうち、ロシアに関しては観光庁、日本政府観光局(JNTO)と双方向交流促進に向けた新たな組織体を立ち上げ、2023年にアウトバウンド20万人、訪日インバウンド20万人の合計40万人の交流実現を目指して取り組みを推進していくことを決めた。また、インドネシアでは政府主導で進める「10 New Balis(10の新しいバリ)」プロジェクトと連動して、日本からの送客拡大に向けて現地視察を行うほか、プロモーションへの協力を行っていく方針を明らかにした。
 JATAは今年9月〜11月にかけて国内外で行われた7件の国際会議や海外視察を実施した。さらに、12月の「日韓観光振興協議会」と来年1月の「日印観光定期協議」にも参加することを発表した。
 このうち、ロシアに関しては今年4月に自民党の二階俊博幹事長のミッションに同行したのに引き続き、10月に自民党観光立国調査会の訪露に随行し、ロシアの観光当局関係者との会談を行った。そうした内容を踏まえ、日露の相互交流促進のための情報の共有や課題の解決などを図るための新たな観光庁、JNTO、JATAで「日露相互交流拡大ワーキンググループ(WG)」を設置。11月22日に初会合を開催した。
 第一回のWGでは2023年の日露相互交流40万人時代実現を柱に据え、アウトバウンドについてはレジャー、ビジネス客の潜在需要などの調査を踏まえ航空便の拡大、旅行商品の造成、PRイベントの開催などを促進する。一方、インバウンドについては、日本の旅行先としての認知度不足を解消し、ロシア国内の地域差も考慮しながら新規訪日需要のさらなる開拓を目指していくことが確認された。
 このうちアウトバウンドについては、カザン、ソチなど欧州ロシアの地方都市や極東エリアを主要のデスティネーションと位置づけて、新たな観光素材の開発や視察旅行の実施などに取り組んで行く。そうした活動を推進していくことにより、2023年に極東地域の送客数を2017年の2万7000人から85%増の5万人、欧州ロシアについては地方都市の送客数を約3.3倍の1万人に高めていくことを含めて、17年の11万人から30%増の14万3000人に引き上げていくことを目指す。
 インドネシアについては、10月29日〜11月2日にかけて、観光庁とともに「インドネシア官民観光ミッション」を実施した。
 インドネシアではジョコ・ウィドド大統領が重要政策の1つとして観光を打ち出しており、その一環としてバリ島に続く人気観光地の開拓に向けて、10のデスティネーションを10の新しいバリとして観光インフラ開発などを重点的に行っている。今回のミッションでは、この中から日本から直行便が就航する首都ジャカルタからアクセスが容易なブリトゥン島とレスン岬を視察した。
 インドネシアの観光を取り巻く環境について、視察に参加したJATAの越智良典理事・事務局長は「観光が重要政策の1つと位置づけられていることもあり、急速に観光インフラの整備が行われているという印象を受けた。また、視察した2カ所については、近く国際ブランドのホテルが開業することや、高速道路の開通などインフラが強化されることで、日本からの旅行商品を造成することができそうだ」と指摘。そうしたことから、JATAは来年にも現地への視察旅行を計画していくほか、大阪で開催されるツーリズムEXPOジャパンで、新たな観光素材のプロモーションについて協力していく方針だ。

 

 中国のミッションでは新たな観光素材開発提案
 来年1月インドで開催の観光定期協議にも同行

 

※写真=JATAの国際交流への取り組みについて説明する越智良典理事・事務局長(写真右)と權田昌一海外旅行推進部長