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2021.04.30

WING

737MAX納入再停止、改修作業に1機当たり数日

現在は低率生産、22年初頭に月産31機まで回復目指す

 ボーイングのデイビット・カルフーン最高経営責任者(CEO)は4月28日(現地時間)に開催した投資家向けの第1四半期決算説明会のなかで、先ごろ電気系統に不具合が発見されたとして再度運航停止となった737MAXについて、「問題に対処する間、顧客に対する機体引き渡しを一時停止した」ことを明らかにした。MCAS問題でおよそ20ヵ月間の運航停止の後、昨年11月に米連邦航空局(FAA)が運航停止命令を解除したことを受けて機体納入を再開した737MAXだが、今度は電気系統の不具合問題の発生によって、再び引き渡し作業が停止されてしまったかたちだ。
 737MAXの新たな問題についてカルフーンCEOは「就航中の約100機が影響を受けている」ことに触れながら、「現在、オペレーターが機体を使用可能な状態に戻すために必要なプロセスの概要について、FAAと最終的な計画の策定および文書化作業を進めている」とコメント。その上で、「FAAの承認が得られれば、1機あたり数日を要する改修作業を行う」計画にあることを明らかにした。
 ボーイングにおける引き渡し前の737MAX在庫機についても「同様の改修作業が必要」としており、「4月の納入は非常に少ないものとなる。現時点では、年内に納入数を取り戻すことを期待している」として、機体納入ペースが回復するには年内いっぱいを要する見通しにあることを明かした。
 カルフーンCEOは「現在は低水準の生産となっているが、2022年初頭には月産31機まで段階的に増産させていく」との見通しを示しつつ、「市場の需要に対応してさらに段階的に増やしていく予定だ。生産レートの計画については、市場環境をモニターし、顧客との話し合いを重ねながら、引き続き評価していく」として、まずは段階的な生産回復を図っていく方針を示した。
 なお、カルフーンCEOは「我々は今回の問題がお客様のオペレーションに影響を与えたことを認識し、遺憾に思う」とコメント。「顧客の機体が夏季シーズンに向けて確実に準備できるよう、我々が注力している」と話した。
 
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※写真=737MAXの納入作業が再び停止に。就航中の約100機のほか、在庫となっている約400機以上の機材についても1機あたり数日間の作業が必要だという