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2021.04.12

WING

コロナ禍で需要拡大、ANAビジネスジェットの成約数1割増

問い合わせ3割増、売上10億円達成も視界に

 ANAホールディングスと双日が2018年7月に登記したANAビジネスジェットの片桐純社長が4月9日、羽田空港で記者会見に臨み、「コロナ禍前(2019年)に比べてフライトの成約件数は1割強増加している」ことを明らかにした。さらに、「問い合わせベースでは3割近く増加している」とし、「毎月20件程度の問い合わせがある」とした。
 長らくビジネスジェット利用が進んで来なかった日本の空。航空局による規制緩和や専用ターミナルの建設など、ビジネスジェット利用拡大に向けた環境が少しずつ整いつつあるが、それでも成熟した欧米市場や急成長を遂げた中国のビジネスジェット市場には遠く及ばない。そうしたなか新型コロナウイルス感染拡大を機に、感染リスクを最小限に抑えることができるなど、日本のビジネスジェット市場環境に変化の兆しがみえてきた様相だ。
 片桐社長は日本市場について、「潜在需要はあると確信している。ANAブランドに対する信頼・信用もあって、お客様からの問い合わせも年々増えている」とコメント。会社立ち上げ当初は3年目で単年度黒字化、5年目で累積損失解消することを目標に掲げていたが、「2019年度には単年度黒字を達成し、昨年度もコロナ禍ながら増益を達成した」ことを明かした。その上で、「5年目には売上高10億円という数字を自信を持って達成することができる」と話した。
 ANAビジネスジェットは、ANAホールディングスが51%、双日が49%を出資するかたちで設立された。ANAホールディングスにとっては、ビジネスジェットを活用して時間価値の最大化によって利用者満足の向上を図ることのほか、フルサービス・キャリアのANA、LCCのピーチに続く、事業エリアの拡大を目的として同社を設立した。一方、双日は日本におけるビジネスジェット市場の拡大のほか、既存のビジネスジェット事業の拡充を狙い、ANAホールディングスと共同でANAビジネスジェットの設立に踏み切っていた。
 同社は機材を保有することなく、全世界40社以上の運航会社と業務提携を結んでいる。ANAビジネスジェットに出資する双日は、グアムビジネスジェット運航会社のフェニックスジェット社を有しており、成田と香港に拠点を構えている。そうした運航会社は機材の運航・管理、整備、クルーの派遣などを担い、ANAビジネスジェットは顧客や旅行会社などから来る見積り依頼、予約などに対応する。

 コロナ前後で変化した利用実態
 グローバルチャーター急伸、国内も需要増

アフターコロナ向け「移動の選択肢」需要増を確信
 時間価値最大化に加え感染リスク低減

※写真=コロナ禍にビジネス機利用需要が急増。ANAビジネスジェットでも成約件数が1割増