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2021.03.19

WING

川崎重工業、航空エンジン検査工程にAI

AI導入はシステム開発・学習作業段階に

 川崎重工業航空宇宙システムカンパニーは、航空エンジン事業における新たな生産技術への取り組みについて、「人工知能(AI)は様々なところで活用したいと考えている」(航空エンジンディビジョンエンジン生産総括部長の松崎祐司理事〈松崎生産総括部長〉)として、生産現場にAI適用を進めていきたいとの考えを明らかにした。航空機産業の生産技術は、大きな変革期にきている。自動化、IoT、そして人工知能(AI)の活用など、生産技術革新の様々な試行錯誤が各社で繰り返されており、川崎重工業航空宇宙システムカンパニーの航空エンジンディビジョンとしても、こうした潮流にしっかりと乗っていく構えだ。
 松崎生産総括部長は「我々の生産のなかで、AIが最も貢献してくれるだろうと考えている部分は、現状で人が判断を下しているところだ。例えば人間の目を通さなければ合否判定することが困難な検査関係、ここに活用したいということが我々の思い」として、とくに検査工程でAIによる支援システムを構築していきたいとの考えを示した。
 その上で「製品に細かいキズがあると、その傷がクラックの起点となってしまう可能性がある」ことに触れつつ、社内で微細な傷に対しても敏感な管理を行なっていることに言及。「人が製品の傷を判定する過程は3段階あって、第1段階で傷と思しきものを確実に捉えること、第2段階で傷であるか否かの判定を、そして最終段階でその傷が有害な傷であるかどうかを判断している」とし、「現状では、まずはロボットなどを組み合わせて自動化されたラインのなかで傷を捉える第1段階、傷であるかどうかの判断をさせる第2段階の部分を、AIで作業することができるようにするべく、AIのシステム開発と学習作業を行なっている」ことを明らかにした。
 「最終的にはAIが有害な傷であるということを判定することが理想」との見解を示しながら、「最終判断までAIに実施してもらうことはまだ少し時間がかかると考えている」とコメントした。
 すでに第1・第2段階へのAI適用は開始しつつあるとのことで、・・・・・・・・。

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※写真=川崎重工業の西神工場(提供:川崎重工業)