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2021.01.29

WING

日立金属、品質不正問題が航空機分野にも波及

問題発覚後も親会社・日立製作所へ報告せず隠蔽

 日立金属が1月28日に発表した品質不正問題に関する調査報告書のなかで、昨年4月に公表した品質不正事案のなかでは対象外となっていた航空機・エネルギー分野向け製品でも、品質不正が横行していたことが明らかになった。さらに、同社は航空機・エネルギー分野でも品質不正を把握しておきながら、当時の佐藤光司社長(2020年5月末退任)が不適切行為の報告対象から外すように指示し、問題を隠蔽。親会社であった日立製作所に報告されず、4月27日に発表したプレスリリースのなかでは、航空機・エネルギー用途向け製品については、対象とされていなかった。
 ちなみに、佐藤社長の指示に対し、安来工場長や金属材料事業本部長は報告書から航空機・エネルギー分野を対象外とすることに反対したものの、佐藤社長が意見を変えることなかったという。
 日立金属によれば、不正行為は遅くとも1980年代から品質検査結果の書き換えなどが行われるようになったとし、工場(こうば)長や製造部門のグループ長の一部は工場(こうば)における不適切行為が行われていることを認識。不適切行為問題は、日立金属内で常態化していた様相だ。
 そもそも日立金属における品質問題の発端は、親会社である日立製作所に対して、日立金属の安来工場で製造する特殊鋼製品について、試験を実施せずに架空の値を入力しているなどの品質不正が横行しているとする内部告発(投書)が行われたことがきっかけ。この投書の情報の真偽確認や同種事案の発見などを目的として、日立金属および同グループ従業員などに対するヒアリングなど、初期的な社内調査が進められた。その調査の結果、グループが製造する特殊鋼製品、さらにはフェライト磁石製品および希土類磁石製品といった磁性材料製品の一部で、顧客に提出した検査成績書に不適切な記載が行われていたことが判明。特別調査委員会が設置され、昨年4月27日付で不適切事案を公表していた。
 
 安来工場の不適切行為、363鋼種・823件に
 航・エネ材は17%、工程不整合・検査不整合割合高く
 常態化した不適切行為と隠蔽体質
 安来工場、JISQ9100とNadcapが一時停止
 一時停止措置は既に解除

※画像=日立金属の品質不適合問題が航空機にも波及。1980年代から不正が横行していたことが明らかに