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2020.09.23

WING

エアバス、2035年までに水素旅客機の実用化へ

3種の水素機コンセプト発表、25年までにプログラム開始

 エアバスは9月21日(仏トゥールーズ現地時間)、3種類の水素燃料旅客機のコンセプトを発表した。エアバスによれば、2035年までに実用化を目指し、水素を利用した世界初のゼロ・エミッション旅客機を開発することを目指す。エアバスはこのコンセプト機プログラムを「ZEROe」(ゼロイー)と命名。水素燃料を動力源とした機体の開発を加速する方針で、2025年までには「ZEROe」プログラムを開始する必要があるとした。今後数ヵ月以内には、水素燃料電池と水素燃焼技術を試験する複数の水素デモンストレータープログラムが正式に開始する予定にあるという。
 エアバスの試算では、水素を活用することで航空業界の二酸化炭素排出量を最大50%削減する可能性があるとの推定。コンセプトを発表した3機種のうち、ターボファンタイプの機体は2基のハイブリッド水素ターボファンエンジンを搭載したもので、液体水素貯蔵タンクおよび供給システムは、後部圧力隔壁後方に設置する。このデザインは120席~200席の仕様で2000海里以上の航続距離を有すると想定する。
 また、最大100席クラスのターボプロップ機は、6枚のプロペラを駆動する2基のハイブリッドターボプロップエンジンを搭載し、1000海里以上を飛行する。ターボファン機と同様、液体水素貯蔵タンク・供給システムを後部圧力隔壁の後方に設ける。
 そしてブレンデット・ウィング・ボディ(BWB)のコンセプトも発表。機体形状がブレンデット・ウィング・ボディであることから、内部構造が広く、液体水素の貯蔵タンクおよび供給システム、そして客室仕様などを柔軟に設計することができることが特徴で1000海里以上を飛行する能力を持つ。エアバスが発表したイメージ画像では、液体水素貯蔵タンクは主翼下に配置したほか、ターボファン機と同様に、2基のハイブリッド水素ターボファンエンジンが推力を供給する。

 

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※画像=エアバスは3機種の水素燃料旅客機のコンセプトを発表。2035年の実用化に向けて開発を加速する(提供:エアバス)

※画像=水素燃料を活用したハイブリッドターボファンエンジンを搭載するターボファン機のコンセプト(提供:エアバス)

※画像=ターボプロップでもハイブリッド機を開発することを目指す(提供:エアバス)

※画像=ブレンデッド・ウィング・ボディの機体形状。この機体形状は客室や各種搭載品のレイアウトが柔軟(提供:エアバス)